1990年8月、イラクがクウェートに軍事侵攻し、翌年1月には多国籍軍によるイラク攻撃へと発展した。冷戦後、世界が初めて経験した国際危機に日本政府は大きく揺れ、日本外交が直面する課題を痛感することとなった。20年余を経た今、「湾岸ショック」とまで呼ばれた日本の湾岸戦争への対応を振り返る。 1990年8月2日、イラクによるクウェートへの軍事侵攻で始まった湾岸戦争は、冷戦後の世界が経験した最初の国際危機であった。日本にとって湾岸体験は、冷戦後世界の現実に対する不快な目ざめ(rude awakening)となり、「湾岸ショック」や「湾岸のトラウマ」とすら呼ばれてきた。なぜ日本はあれほど対応にとまどったのか、湾岸経験は日本に何を残したのか、20年あまりを経た今、あらためて振り返ってみる価値があろう。 ニューヨーク市内のホテルでブッシュ米大統領と(左)と会談する海部俊樹首相(1990年9月29日) 実