東本京史 「トラちゃん文庫」 「難波侠客伝」日本最後の侠客、大越龍蔵が悪に立ち向かう! 背中の昇り龍、二の腕のクレマチスを咲かせ男伊達をみせる。 クレマチスは策略の花、さて今日のクレマチスは…… 身を高ぶる者は謗られ(非難され)、 身を低くする者は褒められる。(祝福される) この小説はフィクションです、実在とは関係ありません。 「 謗(そし)る 」 2 「それで頼みて何ですんや?」 さっそく龍蔵が訊ねた。 「頼みごとを言うたら、その説明をせなあきません。 そやから私の生い立ちから話していったら、 理解してもらえると思うんです。 長い話になりますけど聞いてもらえますか?」 桃さんが頭を下げた。 「まだまだ夜は長い、 陽が落ちるとワシも暇人や、いつまででも付き合いますで」 龍蔵が快く受けた。 「おおきに、そんならお言葉に甘えて」 酒を受けた桃さんが話し出した。 「私は今いうたように、明治十年