東本京史 「トラちゃん文庫」 「難波侠客伝」日本最後の侠客、大越龍蔵が悪に立ち向かう! 背中の昇り龍、二の腕のクレマチスを咲かせ男伊達をみせる。 クレマチスは策略の花、さて今日のクレマチスは…… この小説はフィクションです、実在とは関係ありません。 「 謗(そし)る 」 24 「一見(いちげん)さんの言葉が信用できた言うんは、 何でですんや?」 龍蔵が問うた。 「確かにお客さんの言う事が正しいと思うたんです。 と言いますのも、お客さんがタネさんの店に行って話してた時、 タネさんは田舎が長崎やと答えたらしいんです。 同郷やと感激したお客さんが、 いろいろと質問しても答えられん、 長崎弁で話したらチンプンカンプン、 近所に林田いう家は無かったかと言うとそんなん知らん。 長崎には林田姓が多いんです。 お客さんは、こいつは偽物の長崎人やと見抜いて、 うっぷん晴らしにウチの店にやってきたんです」