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  • 『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』

    京史 「トラちゃん文庫」 「難波侠客伝」日最後の侠客、大越龍蔵が悪に立ち向かう! 背中の昇り龍、二の腕のクレマチスを咲かせ男伊達をみせる。 クレマチスは策略の花、さて今日のクレマチスは…… この小説はフィクションです、実在とは関係ありません。 「大 君」  25 「近藤ハン、今なんて言いました? タエさんに孫が?」 近藤がうなずいた。 「タエさんには、四十五になる息子が居てるんや。 その息子に十年ほど前男の子ができたんや、タエさんの孫や」 「そうですか、タエに息子が……」 「どうしたんや? 息子ぐらい居てても不思議やないやろ」 「そらタエさんに息子が居っても不思議やない、 そやけど新しい人物の存在が明らかになったんや。 その息子も重要人物ですで。 タエさんの孫であっても、 生まれた時に祝までした佐久衛門さんや左衛門さんにとっても可愛い孫や。 それだけに、佐久衛門さんが年老いて身体が自

    『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』
    higashimoto28
    higashimoto28 2016/06/25
    孫が……
  • 『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』

    京史 「トラちゃん文庫」 「難波侠客伝」日最後の侠客、大越龍蔵が悪に立ち向かう! 背中の昇り龍、二の腕のクレマチスを咲かせ男伊達をみせる。 クレマチスは策略の花、さて今日のクレマチスは…… この小説はフィクションです、実在とは関係ありません。 「大 君」  24 「そんなん恍けてるんに決まってますがな、 ここまで追い詰めて逮捕できんかったら府警の大恥ですで。 女や思うて気を許してるんと違いますの?」 龍蔵がニヤニヤ笑いながら酒を注いでやった。 「アホな事言わんとってくれるか、ワシらは世の中から犯罪をなくすプロやで。 こんな婆さんに負けるわけにいかんけど、 なんせ任意やから強引な取り調べができんのや」 「情けないな、府警で追及できんのやったらワシが追及しますわ。 なにも偉ばって言うてるんと違いますで。 こんだけ殺人現場に近かった人間が、何にも知らん言うんは不自然ですやろ。 そのタエいう

    『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』
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    higashimoto28 2016/06/24
    情けないな……
  • 『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』

    京史 「トラちゃん文庫」 「難波侠客伝」日最後の侠客、大越龍蔵が悪に立ち向かう! 背中の昇り龍、二の腕のクレマチスを咲かせ男伊達をみせる。 クレマチスは策略の花、さて今日のクレマチスは…… この小説はフィクションです、実在とは関係ありません。 「大 君」  23 「龍ちゃん、新情報や」 翌夕刻、近藤が駆け込んだ。 「どないしましたんや? 犯人が分かりましたんか」 息せき切る近藤に駆け付け三杯、注いでやった。 「龍ちゃんも気が早いな、犯人はこれからやけど、 佐久衛門さん親子の面倒をみてた家政婦が見つかったんや。 田タエ言うて、六十五になる女で家政婦を二十年もやってるベテランや。 ところがこのタエは口が堅いいうか、こっちの質問に真面目に答えんのや。 何を聞いても知らんの一点張りで口をつぐむんや。 この婆さんの指紋も照合できたし、 何等か知ってる筈なんやが、口を開かんのや」 近藤が、困惑

    『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』
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    higashimoto28 2016/06/23
    追及を……
  • 『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』

    京史 「トラちゃん文庫」 「難波侠客伝」日最後の侠客、大越龍蔵が悪に立ち向かう! 背中の昇り龍、二の腕のクレマチスを咲かせ男伊達をみせる。 クレマチスは策略の花、さて今日のクレマチスは…… この小説はフィクションです、実在とは関係ありません。 「大 君」  22 「龍ちゃんの考えには一理あるな、確かに老人二人の生活は無理や、 それに二人とも男や、飯の用意や掃除洗濯、 どれをとっても男二人の老人がこなしてたとは考えにくい。 考えにくいどころか不可能や。 龍ちゃんエエとこに目をつけたで」 「そやけど、 賄い婦の誰かを雇うてたにして、何で名乗り出んのかな? ひょっとして、殺しの現場を見てしもうて、恐ろしゅうなって逃げたんかもしれんな」 龍蔵が首をかしげた。 「それは犯人やからやと思うわ、殺しの犯人やったら名乗り出るはずないで」 近藤が自信ありげに答えた。 「そうかもしれんけど、 賄い婦や老

    『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』
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    higashimoto28 2016/06/22
    そんな偏見は……
  • 『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』

    京史 「トラちゃん文庫」 「難波侠客伝」日最後の侠客、大越龍蔵が悪に立ち向かう! 背中の昇り龍、二の腕のクレマチスを咲かせ男伊達をみせる。 クレマチスは策略の花、さて今日のクレマチスは…… この小説はフィクションです、実在とは関係ありません。 「大 君」  21 「そらそうかもしれんな、ほんなら今からワシの考えを話すから、 それを捜査会議で説明してもらえんやろか?」 龍蔵が近藤を見据えた。 「そうやな、とりあえず龍ちゃんの話を聞かせてくれるか。 その話しだいで捜査会議に提案してみるわ」 お銀が造りを運んできた。 「ほんなら聞いてくれますか、佐久衛門さんは百を超えた老人や、 元気に部屋中を飛びまわってたとは考え難い。 下手したら寝たきりやったかもしれん。 それに息子の左衛門さんにしても八十を超えた老人や。 現に記憶を無くして自分が誰なんか分からん状態や。 そんなこと考えたら、誰が佐久衛

    『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』
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    higashimoto28 2016/06/21
    介護の人間が……
  • 『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』

    京史 「トラちゃん文庫」 「難波侠客伝」日最後の侠客、大越龍蔵が悪に立ち向かう! 背中の昇り龍、二の腕のクレマチスを咲かせ男伊達をみせる。 クレマチスは策略の花、さて今日のクレマチスは…… この小説はフィクションです、実在とは関係ありません。 「大 君」  20 「またワシに手柄を譲ってくれるんかいな、オオキニほんま助かるわ。 ワシらデカも、一般の営業マンやないけど、 ある程度の成績を上げんと、首筋が寒いんや。 手柄を貰うんやから、ワシも隠し事はアカンな。 実はな、佐久衛門さんの死因の解明に鑑識が活躍したんやけど、 いま言うた佐久衛門さんと左衛門さん以外にも、 はっきりした指紋が検出されてるんや。 そやけど前科も無いんか、指紋照合に適合する指紋が見つからんのや。 この指紋が誰なんか、それを突き止めたら事件の解決につながると思われるんや。 百を超えた佐久衛門さんが、自分で腹を刺して自殺

    『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』
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    higashimoto28 2016/06/20
    ためらい傷……
  • 『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』

    京史 「トラちゃん文庫」 「難波侠客伝」日最後の侠客、大越龍蔵が悪に立ち向かう! 背中の昇り龍、二の腕のクレマチスを咲かせ男伊達をみせる。 クレマチスは策略の花、さて今日のクレマチスは…… この小説はフィクションです、実在とは関係ありません。 「大 君」  19 「左衛門さんが、佐久衛門さんやと自分の名前と勘違いしたんは、 名前が一字違い言うことも有るし、よっぽど父親の印象が強うて、 頭の真ん中に残ってたんや無いやろか? この左衛門さんが意図して佐久衛門を名乗ってたとは考えにくいし、 ましてやこの人が父親を刺し殺したなんて、絶対に考えられんことや。 今や、記憶喪失の老齢者は増える一方で、 将来はなん百万になるかもしれんと言われてるんや。 この人も一時的に記憶を無くしてるだけで、 生活になんの支障もないしこの通り正常や。 知識の数々を聞かせてもうたけど、どの話も立派なもんや。 殺しか自

    『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』
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    higashimoto28 2016/06/19
    捜査員を……
  • 『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』

    京史 「トラちゃん文庫」 「難波侠客伝」日最後の侠客、大越龍蔵が悪に立ち向かう! 背中の昇り龍、二の腕のクレマチスを咲かせ男伊達をみせる。 クレマチスは策略の花、さて今日のクレマチスは…… この小説はフィクションです、実在とは関係ありません。 「大 君」  18 「やっぱり警察は嫌いや、何にも知らんし親父が死んだんも知らん。 そんなワシが何で疑われるんや? ワシは何にも覚えてないし、どない答え言うんや。 ワシが左衛門で、親父が佐久衛門? それに何や、親父は殺された? 訳の解からんこと言うたらアカンわ。 あんたがナンボ警察でも、なんでワシが左衛門やと決めつけるんや。 ワシの生い立ちを解明して、納得できる証拠があったら認めるけど、 ただ口先だけで伝えられても、そんなん信用できるはずがないわ」 強気の答えを返す。 「そやから言うてますがな、 あんたの家から採取された指紋が、あんたと親父さん

    『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』
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    higashimoto28 2016/06/18
    ナンボでも……
  • 『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』

    京史 「トラちゃん文庫」 「難波侠客伝」日最後の侠客、大越龍蔵が悪に立ち向かう! 背中の昇り龍、二の腕のクレマチスを咲かせ男伊達をみせる。 クレマチスは策略の花、さて今日のクレマチスは…… この小説はフィクションです、実在とは関係ありません。 「大 君」  17 「それ偶然かな?」 龍蔵がみんなの顔をうかがう。 「どう言う意味や?」 近藤が問う。 「実はな、この人は佐久衛門さんと記憶してるんやけど、 佐久衛門の名前と、歳が八十歳までしか記憶が無いんや、 名字もどこに住んでたかも解からんのや」 龍蔵が説明した。 「何やて? 佐久衛門さんてそんな多いんやろか? 何や臭うな、失礼してこのコップ指紋採取に使いますんで預からして貰います」 近藤が、コップをハンカチに包んだ。 「これは単なる偶然かもしれんけど、もし何らかの関係が有ったら、 いろんな事が解明できるかもしれまへん。 早急に鑑識に回し

    『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』
    higashimoto28
    higashimoto28 2016/06/17
    あんたの本名は……
  • 『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』

    京史 「トラちゃん文庫」 「難波侠客伝」日最後の侠客、大越龍蔵が悪に立ち向かう! 背中の昇り龍、二の腕のクレマチスを咲かせ男伊達をみせる。 クレマチスは策略の花、さて今日のクレマチスは…… この小説はフィクションです、実在とは関係ありません。 「大 君」  16 「そやから日人は、酔う事に対して罪悪感などあろうはずが無いんや。 それどころか反対に、飲んで酔わんのは神さんに対して失礼やと考えてたんや。 そやから、酔いが深いほど神に近づくと信じて、 意識を無くすほど飲んだ人間が、神に一番愛でられた人やと尊敬されたんや。 神社で御祈祷や参拝の後に、お神酒を飲むのはこのような理由が有るんや」 「ホンマよう知ってますな、そんな知識は普通の人は知りませんわ」 龍蔵が賛辞をおくった。 「昔勉強したからか、こんな話しやと次から次に出てくるんや。 そんで自分の名字が思い出せんとは……、情けない話や」

    『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』
    higashimoto28
    higashimoto28 2016/06/16
    同じ名前の……
  • 『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』

    京史 「トラちゃん文庫」 「難波侠客伝」日最後の侠客、大越龍蔵が悪に立ち向かう! 背中の昇り龍、二の腕のクレマチスを咲かせ男伊達をみせる。 クレマチスは策略の花、さて今日のクレマチスは…… この小説はフィクションです、実在とは関係ありません。 「大 君」  15 「無礼講の話は、昔の記述にいろいろと書かれているんやけど、 魏志倭人伝(ぎしわじんでん)に、人性酒を嗜(たしな)むと書かれているのは、 当時の中国人から見て倭人は大変な大酒飲みに見えたと思われる。 戦国時代に来日した宣教師ルイス・フロイスは、記述した日史で、 我々は誰かが酩酊すると、それは多いなる恥であり不名誉であると考える。 ところが日ではそれを自慢する。 我々は自分が飲みたいだけしか飲まないし、他人に強要することはない。 ところが日では、無理に勧め合う。そのためある者は酔っ払い、ある者は吐く。 どうして日と外国で

    『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』
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    higashimoto28 2016/06/15
    高天原……
  • 『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』

    京史 「トラちゃん文庫」 「難波侠客伝」日最後の侠客、大越龍蔵が悪に立ち向かう! 背中の昇り龍、二の腕のクレマチスを咲かせ男伊達をみせる。 クレマチスは策略の花、さて今日のクレマチスは…… この小説はフィクションです、実在とは関係ありません。 「大 君」  14 「日人は花見が好きやろ、花見はな、農繁期を迎えるにあたって、 神人共して豊作を祈った行事が花見なんや。 今でも地方によっては、 『田打ち桜や種蒔(ま)き桜、田植え桜』と呼んでるとこも有るんや。 神社で行われる数あるお祭りの中で最も重要なお祭りとされるのが、 祈年祭、新嘗祭(にいなめさい)、例祭と呼ばれる三つの大祭や。 祈年祭は田植えの前に豊作を祈り、 新嘗祭は収穫したお米をご神前にお供えして感謝し、 例祭は神社が創建されたことを記念するお祭りなんや。 祭りと言うと皆さんの頭に浮かぶんは御輿(みこし)や。 それは、例祭の際

    『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』
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    higashimoto28 2016/06/14
    無礼講……
  • 『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』

    京史 「トラちゃん文庫」 「難波侠客伝」日最後の侠客、大越龍蔵が悪に立ち向かう! 背中の昇り龍、二の腕のクレマチスを咲かせ男伊達をみせる。 クレマチスは策略の花、さて今日のクレマチスは…… この小説はフィクションです、実在とは関係ありません。 「大 君」  13 「ホンマ嬉しいわ、毎日どこで寝たろうかと思案しながら歩き回ってましたんや。 今時立ちションも自由にならんのに、寝るとこ探すんは至難の業ですわ。 こんな立派な座敷で寝れるなんて、神が舞い降りた気分や。 ホンマおおきに、記憶が戻ったらギョウサン礼をさしてもらいます」 佐久衛門が深々と頭を下げた。 「そんな礼を言う必要はありませんわ。 ウチは旅館業やないし居酒屋や、大きな顔して寝てたら宜しいわ」 笑顔の鉄が酒を注ぐ。 「この器も綺麗やな、わし桜が好きなんや。 日人はみんな好きかもしれんけど、ワシは特に思い入れが有ってな、 桜を研

    『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』
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    higashimoto28 2016/06/13
    桜の花が……
  • 『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』

    京史 「トラちゃん文庫」 「難波侠客伝」日最後の侠客、大越龍蔵が悪に立ち向かう! 背中の昇り龍、二の腕のクレマチスを咲かせ男伊達をみせる。 クレマチスは策略の花、さて今日のクレマチスは…… この小説はフィクションです、実在とは関係ありません。 「大 君」  12 「龍蔵さんやったかな?  警察だけは苦手や、知らせんといてや」 手を合わせる。 「ワシは当事者やないし、わざわざ察に届けたりしませんわ」 そこへ主人の鉄が、造りの大皿を持ってきた。 「この男が、ここの主人で鉄いいますんや。 料理の腕はええし、ここは日一の居酒屋ですわ」 鉄が座敷に上がり酒を注いだ。 「男前やな、それにこの造り絶品や、久しぶりの楽しい飲み会や、 酒と料理を頼んまっせ。金は持ってる心配せんといて」 上機嫌や。 「ちょこっと話が聞こえてたんやけど、 自分の苗字が思い出せん言う人が増えてるみたいですで。 そやから、

    『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』
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    higashimoto28 2016/06/12
    ホンマかいな……
  • 『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』

    京史 「トラちゃん文庫」 「難波侠客伝」日最後の侠客、大越龍蔵が悪に立ち向かう! 背中の昇り龍、二の腕のクレマチスを咲かせ男伊達をみせる。 クレマチスは策略の花、さて今日のクレマチスは…… この小説はフィクションです、実在とは関係ありません。 「大 君」  11 「こんだけの学識がある言うことは、帝大の出身ですか?」 龍蔵が聞いてみた。 「それがよう思い出せんのや、歳が八十は分かるんやが苗字が何やったか? 佐久衛門は記憶にあるんやが……」 首をかしげる。 「そんでも今話してもうたんは、 よっぽど勉強した人でないと得られん知識ですで。 昔よっぽど勉強しましたんやで、 でないと苗字が思い出せん人が話せる内容と違いますがな」 正直に話した。 「それがな妙なもんで、頭の中に刻み込まれてるんか、 他人からしたらこ難しい話がつらつら出てくるんや。 人と話をしてたら、苗字が出てくるんやないかと思う

    『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』
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    higashimoto28 2016/06/11
    警察が……
  • 『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』

    京史 「トラちゃん文庫」 「難波侠客伝」日最後の侠客、大越龍蔵が悪に立ち向かう! 背中の昇り龍、二の腕のクレマチスを咲かせ男伊達をみせる。 クレマチスは策略の花、さて今日のクレマチスは…… この小説はフィクションです、実在とは関係ありません。 「大 君」  10 「ワシは無学なもんで、良暹(りょうせん)法師いう人をよう知りませんのや」 龍蔵が控えめな目つきで訴えた。 「あんた素直なええ人やな、大概の者は知った被りをするもんや。 知識は得るもの努力の結晶や。法師が亡くなった後、 歌壇の第一人者で『金葉和歌集』を編んだ源俊頼(としより)が、 大原に出かけた折、 良暹法師の旧房前を通り過ぎる際、下馬の礼をとったと言われてる。 その後も急房を訪れた西行法師も、 感極まって『大原やまだ炭窪もならはずといひけむ人を今あらせばや』 と、山家集にある。良暹法師がいま生きてここに住んでいたら……、 と

    『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』
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    higashimoto28 2016/06/10
    合掌して……
  • 『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』

    京史 「トラちゃん文庫」 「難波侠客伝」日最後の侠客、大越龍蔵が悪に立ち向かう! 背中の昇り龍、二の腕のクレマチスを咲かせ男伊達をみせる。 クレマチスは策略の花、さて今日のクレマチスは…… この小説はフィクションです、実在とは関係ありません。 「大 君」  9 「あんたが相手してくれるらしいけど、何者や?」 龍蔵を睨みつける。 「ミナミの龍蔵いいますんや。 いつも居てるから、毎日でも飲みに来たら宜しいがな」 「あんたエエ人みたいやな、酒を注いだげるわ」 打ち解けたようや。 「なんやお銀の話によると、漢詩を肴に飲みたいと困らせたらしいですがな。 漢詩に詳しいんですんか?」 佐久衛門の顔をうかがう。 「王朝の和歌は、漢詩文と接触することで、美意識を磨いてきたと言うただけや。 こんなん常識や、秋は悲しい季節とする悲秋観、 夕暮れ時の寂寥(せきりょう)感なんかが典型的なものや。 人間騒がしい

    『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』
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    higashimoto28 2016/06/09
    和歌は漢詩文と……
  • 『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』

    京史 「トラちゃん文庫」 「難波侠客伝」日最後の侠客、大越龍蔵が悪に立ち向かう! 背中の昇り龍、二の腕のクレマチスを咲かせ男伊達をみせる。 クレマチスは策略の花、さて今日のクレマチスは…… この小説はフィクションです、実在とは関係ありません。 「大 君」  8 翌日の夕刻、カウンター席に座った客にお銀が手を焼いてるようや。 「ここはどこや? ワシはどこから来たんや」 「えぇ、今なんて言いました。 ここはミナミやけど、どこから来たんか言われても……。 お爺ちゃん、自分の名前分かります?」 お銀が問いかけた。 「ワシの名前か? あんた知らんのか、ワシの名前を知らんなんて日人か」 憤激した態度をみせる。 「そう言われても、初対面やから知りませんわ、お酒にしますか?」 注文を聞く。 「もちろん酒や、肴(つまみ)に詩をくれるか」 「シて何ですねん、白子ですかシラスですか?」 「白子? そりゃ

    『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』
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    higashimoto28 2016/06/08
    肴に……
  • 『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』

    京史 「トラちゃん文庫」 「難波侠客伝」日最後の侠客、大越龍蔵が悪に立ち向かう! 背中の昇り龍、二の腕のクレマチスを咲かせ男伊達をみせる。 クレマチスは策略の花、さて今日のクレマチスは…… この小説はフィクションです、実在とは関係ありません。 「大 君」  7 「そやけど、これやと事件性が有るんかどうかも分からんがな。 置いていった者が、神社を寺と間違うたとは考えられん、 住吉ハンみたいな有名なとこを寺と間違うはずが無いと思うわ。 それに、色紙に書いてある古体詩か何かしらんけど、 意味が有って骨壺に入れたと思うんや。 置いていった者が書いたんやったら、よほど古典に詳しい人間やで。 大学生でも関連の学部の者でなかったら、説明できる者は少ないと思うわ」 近藤は、わけが解らんと困惑した。 「指紋の採取はしましたんか?」 「鑑識に頼んで、色紙はもちろん骨箱や骨壺も採取して、 骨の一部も取り出

    『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』
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    higashimoto28 2016/06/07
    完全犯罪……
  • 『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』

    京史 「トラちゃん文庫」 「難波侠客伝」日最後の侠客、大越龍蔵が悪に立ち向かう! 背中の昇り龍、二の腕のクレマチスを咲かせ男伊達をみせる。 クレマチスは策略の花、さて今日のクレマチスは…… この小説はフィクションです、実在とは関係ありません。 「大 君」  6 「そうか、今の世のなか非情なもんやな。 財産だけ受け取って遺骨は邪魔物扱いか、ワシは決心した、財産はのこさんぞ」 「財産残さん言うても、元々財産が無いがな」 龍蔵がニヤリと笑うた。 「アホなこと言わんとってくれるか、退職したら退職金が入るし恩給もあるんやで」 どうやと言わんばかりに酒を飲む。 「そんなもん、残った奥さんがウップン晴らしに使うてしもたら終わりですがな」 近藤がうな垂れた。 「それよか住吉ハンの遺骨の件やけど、 遺骨の処分に困った者の犯行の可能性が有りますな。 これは難儀なことですで、遺骨に名前が書いてあるわけやな

    『東本京史「トラちゃん文庫」難波侠客伝:大君』
    higashimoto28
    higashimoto28 2016/06/06
    古体詩……