JR南武線稲田堤駅の西側にある観光道(かんこうどう)踏切。あまり知られていない往時の「観光地」を今に伝える貴重な史跡? 踏切の名称に惹かれて何十年の、いわば「踏切名称マニア」である今尾恵介さんが、全国の珍名踏切を案内してくれる連載。今回は「稲田堤」周辺の踏切を紹介します。 【地図や他の踏切写真はこちら】 * * * JR南武線に稲田堤という駅がある。所在地は川崎市多摩区菅(すげ)稲田堤一丁目1-1で、駅前には交通量のかなり多い踏切がある。この通りを160メートルほど南下すれば南武線に並行する府中街道に至り、北へ行けば570メートルで多摩川の堤防。この堤防が駅名の由来となった「稲田堤」だ。 駅前の踏切は「観光道(かんこうどう)」踏切と名付けられている。これといって目立った観光地もないエリアでなぜ「観光道」なのか。駅の南側にある商店街の中で、歴史のありそうな1軒に入り通りの名前を尋ねてみた