ツナミの小形而上学 ジャン-ピエール・デュピュイ 岩波書店 2011 Jean-Pierre Dupuy Petite Métaphysique des Tsunami 2005 [訳]嶋崎正樹 装幀:戸田ツトム リスボン、ヒロシマ、スマトラ、ハイチ、東日本大震災。 1755年11月、1945年8月、2004年12月、 2010年1月、2011年3月。 いずれも地震とツナミと、そして核が襲った。 これらを受け止めて、ジャン-ピエール・デュピュイは、 もはや正義と悪とを天秤にかけられないことを、 リスク計算が破局の回避にはならないことを、 とても静かに語ったのである。 ヒロシマが道徳的破局であったすれば、フクシマは産業・技術的破局であった。ヒロシマは「悪」を演じようという意志から「悪」を生み、フクシマは「善」をなそうとして破綻を招いた。 イヴァン・イリイチ(436夜)は、現代での最も大きな脅