「角勝麻呂」に宴会を強要した文書。1行目に「宴必可設」(宴を必ず設くべし)と書かれている(奈良市の奈良国立博物館で)=菊政哲也撮影 大きなミスをした下級役人が、上司らへの償いとして宴席を設けるよう約束させられる――。そんな現代のパワハラを想像させるような奈良時代の“念書”が、奈良市の奈良国立博物館で開催中の第64回正倉院展に初めて出展され、来場者の関心を引いている。 出展されているのは「続修正倉院古文書別集(ぞくしゅうしょうそういんこもんじょべっしゅう) 第四十七巻」。ミスをした役人は「角勝麻呂(ろくのかつまろ)」という人物で、経典を書写する役所・写経所に写経生として勤めていたとみられる。 文面では、748年7月28日に「罪」と書かれるほどのミスを犯した勝麻呂が、上司や同僚から約2週間後に「宴を必ず設くべし」と迫られ、親族らしき角恵麻呂(えまろ)が“連帯保証人”として署名。期日までに開かな