インターネット上の百科事典「ウィキペディア」の日本語版が転換期を迎えている。誰もが自由に投稿できる米国発祥の思想から、飛躍的にページ数や閲覧数を増やしてきた。今は量的成長が一段落し、管理者不足やいたずらの増加など「質的」な向上の壁に直面している。 ■削除するべき書き込みが1割 東京・秋葉原に実在するメードカフェ名のページ――「宣伝」として削除。 実在の女性のプロフィルを勝手に掲載したページ――「いたずら」として削除。 関東地方の40代男性が最近、「削除」したウィキペディアのページだ。投稿など編集作業は誰でもできる一方で、ページの「削除」や編集を止める「保護」など特別な権限を持つ管理者がいる。男性は「海獺(らっこ)」というアカウント名で活動する、日本語版に63人いる管理者の一人だ。 管理者はネットでの信任投票で選ばれる。職業はIT関連など様々で、実は大半はお互いに素顔を知らない関係だ