公立小中学校の耐震化に絡み、耐震診断や補強設計を入札しても建築士を確保できなかった自治体が29都道府県の84市町村(一部事務組合を含む)に上ったことが、文部科学省の調査でわかった。数千棟の校舎が倒壊した中国・四川大地震から12日で1年。日本では診断や設計を専門とする構造建築士が大都市に偏在し、地域によって建築士を確保できない「ひずみ」が生じている。 今回の調査は、昨年12月の時点の状況を文科省が約1850の自治体にアンケートして判明した。結果は公表されていないが、北海道や大阪府、中国地方や九州地方の耐震化が遅れている自治体で目立ったという。三重県や宮城県など耐震化率が高い県では該当はなく、取り組みの遅れている地域ほど発注が集中している傾向が背景にあるとみられる。 耐震化は(1)耐震診断(2)補強設計(3)工事の実施、と3段階で進む。診断と設計では構造を専門とする建築士の関与が不可欠だ。