ブルマーが下着ではないと知った瞬間、僕は鉄腕アトムに欲情した己の過去を嘆いた。若さゆえの過ちというやつを認めるのはひどく難しい。それならば抹殺するしかない。アトムしかり、エイリアン1作目のシガニー・ウィーバーで抜いてしまったことしかり。そして、僕の知らないうちに我が国のブルマーは滅びていた。 こんなことなら二十数年前のあの春の日、桜の舞い散る校庭を駆け回る、キュートな女子テニス部ブルマーズから目を逸らさなければ良かった。下着を盗み見る罪悪感に打ち負けた精神の弱さが恨めしい。一瞬だけ直視したブルマー、それを当時再放送していたアトムに重ねていたあの頃の自分を殺したい。 「ブルマーは下着ではありませんよ」そう教えてくれた妻には感謝しかない。僕は幸せだ。真実を知ってから死ねるのだから。「ブルマーをはいてくれ。下着でないことを確認するために」妻にそう言いたかった。あるいは強権的にブルマーを履けと命じ