10年以上前、県外の人にいちばん理解されなかった「なごやめし」が味噌かつだった。「何もとんかつにまで味噌をつけなくても」とか、「とんかつに味噌というのはナイわ」など、さんざんdisられた。ところが、「なごやめし」のブームが起きると、手の平を返したように、「味噌かつ、旨いんじゃね?」、「とんかつに味噌って意外に合うんじゃね」と、味噌かつマンセー状態になり、「なごやめし」を代表するメニューとなった。 味噌かつといえば、皿に盛られたロースかつに味噌ダレがかかっている(別皿で味噌ダレを提供する店もある)定食メニューをイメージするだろう。いろんな店を取材するなかで私は居酒屋の味噌串かつが発祥ではないかと考える。 戦後間もない頃、名古屋駅や伏見などには屋台が建ち並んでいた。豆味噌で牛のスジ肉や内臓を煮込んだどて煮を出す店が多く、その鍋に串かつを浸して食べたのだ。揚げ置きして冷めてしまった串かつを温める