北海道でエゾシカの増加による農林業被害が深刻化しており、食肉に利用する動きが広がりつつある。牛肉や豚肉に比べて脂質が少ない一方で、栄養価が高いエゾシカ肉は、健康的な食材として注目されている。ただ、普及には衛生管理などの面で課題も少なくない。 道庁によると、2009年3月末時点の生息数は52万頭。近年大雪が少なく越冬が容易になった上、狩猟者が減少しており、「捕獲しなければ、年20%のペースで増える」(自然環境課)という。牧草や樹皮が食い荒らされる農林業被害は増加傾向にあり、08年度は40億円に達した。 有機農産物販売の「大地を守る会」(千葉市)は「増え過ぎて崩れた生態系のバランスを取り戻す必要がある」(大野由紀恵広報室長)として、4年前から食卓向けにエゾシカ肉を提供している。4月22日には東京・銀座のレストランでエゾシカ肉をメーン料理にした昼食会を開催した。 参加した神奈川県南足柄市の