「ゲゲゲの鬼太郎」「悪魔くん」「河童の三平」…。作品の妖怪たちは奇怪ながら、どこか憎めない。不気味さとユーモアの不思議なバランスで独自のファンタジーを生み出した。 「そういうこと(顕彰)に関心を持たずにやってきたので、今、こうして写真家に囲まれていることが驚きです」。ひょうひょうと感想を述べた。 妖怪を描くときが一番楽しかった。「仕事の2、3割は、妖怪が背中にくっついて仕上げてくれた。わたし一人の力ではない」 戦中に爆撃を受け左腕を失い、苦労して漫画家になった。そんな経験も、NHKでドラマ化された妻武良布枝さんのエッセー「ゲゲゲの女房」で、一層注目されるようになった。「最近は怠けることが何より楽しい。今まで人より多く働いてきたからかな? 人が働く時間に居眠りしたりするのがとても良いんです」