ある日Facebookを眺めていたら、こんな投稿が流れてきた。「秩父の滅びた仕事歌のCDを制作するための募金をお願いします」――呼びかけ人は秩父を地元とするギタリスト、笹久保 伸。1983年生まれの彼は21歳からの4年間を南米ペルーで過ごし、アンデスのフォルクローレを採集・研究してきたというギタリスト。アンデス音楽の魅力を現在に伝えるその音楽世界は海外からの評価も高く、日本のワールド・ミュージック界隈においても注目の若手ギタリストとして名を馳せる存在である。Facebookにはそんな笹久保による真摯な言葉が綴られていた。 「昔、秩父が栄えた時代、裏で秩父を支え続けた秩父の仕事歌。そこには多くの人々が知らなかったもう一つの秩父の姿があります。役目を果たし、時代の変化と共に忘れ去られた『秩父の歌』を集め、それらを録音する企画を始めました」 埼玉県秩父地方。秩父山地にグルリと囲まれた秩父盆地を中