玄海原発(佐賀県東松浦郡玄海町)1号機の劣化問題などを考えるシンポジウムが17日、唐津市文化体育館であった。金属材料に詳しい井野博満東大名誉教授が劣化判断の指標となる試験片の「脆性遷移(ぜいせいせんい)温度」の大幅上昇を問題視し、大学などの研究機関でも試験片を分析する必要性を訴えた。 1号機の試験片の脆性遷移温度は56度(1993年)から98度(2009年)に急上昇した。研究者が問題視したことに対し、九電は衝撃に対する試験片の粘り強さなど新たなデータを公表したが、井野氏は「このデータでは急上昇の原因は分からず安全性は保証できない」とした。 急上昇の原因として「容器の鋼鉄に不純物が多く含まれ、想像以上に劣化が進んでいる可能性がある。中性子を浴びて組織構造がどう変質しているのか。ミクロの解析が不可欠」とし、「原因が解明されるまで運転を停止すべき」と訴えた。 シンポは市民団体などによる実行委員会