宮崎駿は『風立ちぬ』の完成報告会見の席で、記者に「5年ぶりの監督作ですが・・・」と問われ、「5年ぶりじゃない、5年かかったんだ」と返答した。 『風立ちぬ』の実際の製作期間は3年程度であるが、このときの宮崎監督の発言は、『崖の上ポニョ』以後空白の2年、おそらく作品についての思索も合わせて「5年かかった」という意味で言っているのだろう。アニメーションという共同作業が必要な創作物でありながらも、そこに「個人の作家性」を認めて欲しいという主張が隠されているように感じるのである。 それならば製作期間8年、だが劇場用長編作品の監督としての空白期間を入れれば、「14年かかった」高畑勲監督の『かぐや姫の物語』は、彼が東映動画在籍時代に、内田吐夢を監督として計画された幻の「竹取物語」アニメーション化企画において、社内の公募による自身のアイディア(天人界=月から地球に落とされるまでの経過を冒頭部に挿入するなど
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