≪「政権選択」は当たり前≫ 「政権選択」もしくは「政権交代」を争点とした総選挙ということがことさら話題になるのも奇妙な現象である。全体主義国を別にすれば、選挙とは政権を選択するために実施されるものである。わが国も現行憲法では国会議員の中から内閣総理大臣が指名されることになっており、かつ衆議院の優越性が規定されているので(67条)、これまでも国政選挙、就中(なかんずく)衆院選は、常に「政権選択」をかけて行われてきた。ただ、与野党の実力が開きすぎていたため、事実上有権者に選択権はなかった。それがこのたびようやく、選択権が生じたということらしい。 しかしその実態は、自己鍛錬を積んだ民主党がリードに転じたというより、自民党の衰退、堕落が著しく、仕方がないから民主党に一回やらせてみるかという、かなり投げ遣(や)りな雰囲気になっている。選挙必勝の鉄則は逸(いち)早く争点を設定し、その土俵にライヴァル党