ギャラリーに向かって階段を抜けると、黒いそれがギョっとおもむろにあらわれた。天井から通り抜けてきて、微妙に浮かんで静止している。奥にはブラック・オン・ブラックとでも言えそうな一連の平面作品。2月3日から3月4日まで、ナンズカ・アンダーグラウンドで開催された「Little Black」は、今もっとも同時代に影響を与えているアーティストの一人アレキサンダー・ゲルマンによる最新インスタレーションだ。 これを目の前にして、鑑賞者はただワクワクするだろう。まじまじと眺めたり、あるいは近づいたり、それぞれの被写体として、自由に黒い物体を見立てる。地表との隙間に寝そべってもOKだ。運動とともにホワイトキューブを切り取るブラックボックスは、景色を任意にフレーミングしながら、多彩な知覚の喜びを教えてくれる。同じ黒なのに決して同じでないことを、戯れながらカラダで知らしめるのだ。 飛び出すスケールの真っ黒い立方
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