© 米田知子「Japanese House」より 蒋介石政権時代の参謀総長であった王叔銘将軍の家(齊東街・台北)I 2010年. 日本を代表する写真家の一人である米田知子の個展を開催します。米田の作品は“記録”という写真の根本的な役割をベースにしながら、現実に見えているものだけではなく、そこにある記憶や歴史を背景に投影しています。 今回の個展では、映像を含む新作シリーズと、近年の作品より、日本や世界の近代化における記憶や歴史をテーマにしたものを中心に構成しました。いま存在する風景や建物に、過去にどのような出来事が起こったのか。写真を見る側はその事実を知った途端に、見えているイメージが別のものに見えてくる錯覚を覚えます。米田の作品は写真というメディアの持つ特質を最大限に生かしながら、鑑賞する側に見えているものの本質を、あらためて問いかけているのです。 米田の初期作品の多くはヨーロッパを題材に