学校が嫌いだった。勉強も、体育も音楽も美術も大嫌いだった。友達だってほとんどいなかった。教師も苦手だった。何度も仮病で休んだ。毎日嫌で仕方がなかった。 でも、学校では本が読めた。図書室には本があった。私は文庫本ばかり借りた。文庫本なら、お弁当を食べながらでも片手で読める。私は授業が終わるや否や文庫本を出して開いた。周囲の生徒らはおしゃべりをしながら休み時間を過ごしていた。 私が本を読んでいる限り、皆は私をほっておいてくれた。体育のとき、二人一組になりなさい、と言われてあぶれてしまうのはつらかったけれど、グループ学習でどのグループにも入れなかったときもつらかったけれど、今思い出しても胸が痛むけれどそれでも、休み時間になれば本が読めた。 私は本に救われ、守られてきた。本がなかったら、と思うとぞっとする。日本に文庫本があってよかったなとも思う。単行本は、お弁当を食べながら片手では読みづらい。文庫