日本文芸家協会主催のシンポジウム「公共図書館はほんとうに本の敵?」が2月2日、都内で開かれ、作家の佐藤優氏や林真理子氏、東大大学院の根本彰教授(図書館情報学)、新潮社の石井昂常務ら6人がパネリストとして登壇した。 石井氏は、出版社が刊行する本の多くは初版部数の9割が売れれば採算が取れる価格設定をしているが、たいてい赤字になるという実情を説明。それでも出版社が存続できるのは、増刷される一部の本で利益を得ているからだと解説した。しかし近年、公立図書館のサービスが向上して「本がタダで読める」という認識が広がっていると指摘し、「増刷されそうな本については6カ月、図書館での貸し出しを猶予してもらえないか」と訴えた。 これに対し根本氏は「図書館が貸し出しのために同じ本を大量に並べるような状況は一時期よりは改善されている」と発言。行政による図書館の評価が貸し出し冊数などで計られることに問題があると指摘し