不確実な時代をクネクネ蛇行しながら道を切りひらく非線形型ブログ。人間の思考の形の変遷を探求することをライフワークに。 リチャード・ドーキンスの『祖先の物語』は、ヒトから進化の系統樹をさかのぼって、生命の歴史を探索する本ですが、一見、この単純に思える遡行作業は意外と困難なことが読んでいると伝わってきます。単純にヒト科の祖先を探す道程さえ困難なものがあります。 むずかしい理由の1つは、証拠となる化石が断片的にしか存在しないことです。といっても、ドーキンス自身が書いているとおり、化石の存在は決して「祖先の物語」を語るために不可欠なものではなくて、「ボーナス」みたいなものだそうです。 「祖先の物語」を語るために不可欠なのは、むしろ、書かれたもの(シニフィアン)としての遺伝子情報だといいます。 遺伝子の系統樹は1つではないしかし、この遺伝子による記録も決して「祖先の物語」語りを決定的に容易にしてくれ