環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉で、政府・自民党が農業の重要5分野の関税を維持する従来方針から転換したのは、交渉の前進に向け「聖域」に切りこむ苦渋の判断にほかならない。だが、突然の方針転換に農業団体からは「にわかには信じられない」との声も上がり、国内の反発は避けられない。 ◇ 各国の利害がからむTPPの関税交渉は、現時点で2国間の話し合いが中心だった。だが、日本は「聖域」のコメや麦、牛・豚肉をはじめ、これまで関税を維持した分野を、全て「撤廃対象外」と提示した。関税をなくす割合を示す貿易自由化率は日本の場合、80〜90%弱と低い。 自民党の西川公也TPP対策委員長は6日、記者団に「586ある重要5分野(の関税撤廃)をすべて勘案しない姿勢がとり続けられるのか」と説明した。TPPが域内の関税撤廃を目標として掲げる以上、中期的に関税撤廃の検討は避けられない。政府・与党は聖域を改めて精