読書杉並区立・和田中。藤原和博・前校長の一連の教育改革手法で日本中から注目を集めてきた学校である。しかし、その注目の多くが、民間出身校長という存在や「よのなか科」「夜スぺ」「ドテラ」といった「新規な手法」に集中していたことも事実である。本書は、そうした「ハレ」の部分だけでなく、「ケ」にも光を当てる。「画期的な」カリキュラムの裏側にある、普通の日常。その「普通の公立中学」の側面を、「研究者」という第三者の目を存分に利用しながら、長期間にわたる調査(エスノグラフィー・インタビュー・アンケートなど)に基づき描出した好著。本書の第II部では、和田中の生徒がどう変わっていったか、すなわち和田中改革の特色をアンケート調査の分析結果にもとづき論じていた。しかし、執筆者の期待に反してか(?)、私には「画期的な改革をしても『変わらない部分』というのは意外なほど多いものだな」と映った。つまり、「子どもたちの不