『麒麟がくる』時代考証の甘さ NHK大河ドラマ『麒麟がくる』が終盤を迎え、手に汗握って視ている視聴者も多いだろう。時代劇はフィクションなので、必ずしも史実に忠実でないことは仕方がない。しかし、大河ドラマは時代考証者のチェックが入るのだから、もう少し配慮をお願いしたいというのが正直な心情である。 1月24日放送の第42回までの数回の『麒麟がくる』を視ていると、最新研究では誤りとされる「朝廷黒幕説」に依拠して本能寺の変を描こうとしているように思えてならない。 たとえば、織田信長(演:染谷将太)が正親町天皇(坂東玉三郎)に譲位を強要したことに対し、三条西実澄(石橋蓮司)が憤慨した場面などは、信長と朝廷の対立を描いて黒幕説を暗示した好例といえるだろう。 以下、「朝廷黒幕説」の誤りについて解説しよう。 最初に「朝廷黒幕説」がいかなる説かを一言で言えば、織田信長が朝廷を圧迫したので、危機感を抱いた朝廷