かつて中学のとき友人が泊まりに来たとき、丁度一昨年の今頃、かなり美しい星空を見たのを思い出す。夜中の二時、一人は私の部屋のパソコンで動画ファイルナビゲーターを覗き、もう一人はケータイを覗き、私は「 いばらの王 」を読み返していた。若い肉体が極限まで活動した日中を経て、その夜半を過ぎれば、三人のテンションはミステリアスな境地へと至る。完全に晩酌を終えた老人の顔をする者もいれば、力なくヘラヘラと笑う者もいた。私である。そんなとき、一人が「 学校行かへんか 」と言い、我々は極寒のアスファルトを、自転車で漕ぎ出すことになった。 自転車を出そうとするとシャッターを空けなければならない。シャッターを開けるとガラガラと鋭い金属音が宵の静寂を裁つ。確実に親が起きる。ヒステリックな祖母も野に放たれる。私はそれを想定し、彼らに自転車を隣の廃屋に停めておくよう言っておいたので、静かに自転車に乗り込み、学校へと向