自動車の販売台数で、今や、世界4位のブラジル。日本メーカーも競って、シェア拡大に力を入れている。この流れに乗ろうと、打って出た日本企業がある。 大手繊維メーカーのクラボウ。自動車用シートのクッション材を製造している。日本の同業他社に先行して、2年前に進出した。 社員70人のうち10人は日本で働いたことのある日系ブラジル人。日本とほぼ同じ製造ラインで、各現場のリーダーを担っている。その中心となっているのが、コオロ・ジュリアーノさん(32)。日本人幹部の指示をポルトガル語で伝える。13年間大阪の自動車部品メーカーなどで働いていたコオロさん。日本での経験を生かし、トラブルにも素早く対処する。 この日ふだんより多く、不良品が出ていた。すぐに、金型の温度にムラがあることを突き止め、徹底的に清掃するよう指示した。コオロさんの部下は「彼のプロ意識はすごいので、一緒に働いていると、日本企業の色んな技術を覚