煙草と風呂炊き 大正時代は男女問わず喫煙家が多く、文治様も常に煙草を吸っています。うっかり切らせてしまうと、さすがの文治様もぼーっとしてしまいます(笑)。 姫子はいつもと違う文治様のふわふわした様子を愛おしく感じてしまうのです。 煙草は女中頭の龍子ねーねから拝借しました。龍子ねーねも喫煙者ですが、溺愛する姫子の前では絶対に吸いません。 姫子はそんな「大人の愉しみ」である煙草の味を想像し、早く大人になりたいと思うのです。 『煙と蜜』の魅力のひとつに、大正時代の細やかな生活描写があります。龍子ねーねが風呂炊きをするのですが、これがかなり大変。 何度もバケツで風呂釜に水を張ったら、細かい枝から徐々に薪をいれて風呂を炊きます。当時、家にお風呂がある家は珍しく、貴重なものでした。 軍と家庭 文治様は部隊を預かる大隊長なので、予算の管理から部下の統率まで、頭の痛いことばかり。でも、花塚家に来るときは軍