さる5月末、広東省仏山市にあるホンダ部品工場で中国人従業員が賃上げを求めるストライキを起こし、その影響でホンダの完成車工場が操業停止に追い込まれるというニュースが大きく報じられた。数日後、北京にある韓国現代自動車系の部品工場でも1,000人規模のストが起き、6月に入ると天津の豊田合成、広州のデンソーなど他の製造業にも飛び火した。さらにその後も沿海部を中心に各地に拡大、足元まで2ヶ月弱の間にスト発生など労働争議は、報じられているだけで30件以上に達する事態となっている。 以上を捉えて米ニューヨークタイムズ紙は、「安価な労働力とストライキの少なさで、中国は多国籍企業の製造業投資に最良の選択肢だったが、今回の事件はその前提を覆すものになった」と評した。また多くのメディアは、2008年1月に施行された「労働契約法」を背景に中国労働者の権利意識が高まっていることを原因とし、今後中国では低賃金の労働