商業的でないからこそ発展したボカロ音楽 ──藤井さんは以前「Z世代がシティポップに惹かれる理由は、デジタルな情報が社会の中心にない時代の“しっとり感”や“ゆったり感”なんじゃないか」とFacebookで書かれていましたよね。そこでデジタル中心でない社会の象徴をシティポップとした場合、その対となるのは、デジタル中心の社会だからこそ発展した「ボカロ音楽」ではないかな、と思います。現代のZ世代を魅了するシティポップとボカロ音楽について、藤井さんはどのようにお考えですか? 藤井 まず、ボカロに代表されるような言葉や情報が詰め込まれた音楽は、ゼロ年代の終わりごろに「初音ミク」というロボットに歌わせたのが始まりです。一方シティポップの源泉は、70年代に大人になり始めた音楽リスナーに向けて作られたAOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)ですから。「ロボット」と「成長したロック世代」という、そもそも音楽
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