国内に100万人もの患者が存在するといわれるアルツハイマー型認知症薬の開発が、曲がり角を迎える可能性が出てきた。これまでの対症療法的な薬品に対し、原因を根本的に解決する「根治薬」について、製薬世界最大手の米ファイザーが今月にも新しい臨床研究成果を学会で発表すると見込まれているためだ。根治薬は日本の製薬会社も開発を進めているが、ファイザーの開発成果によっては軌道修正を迫られることも考えられる。国内の製薬会社は新薬の開発に巨額の投資をかけにくい環境となってきただけに、欧米の製薬大手との“格差”が拡大する恐れもはらんでいる。 「根治薬の研究は、7月中旬のファイザーの学会発表が大きな分岐点になる」。ある研究者はアルツハイマー型認知症の新薬開発についてこう指摘する。 アルツハイマー型は脳内に変異タンパクがたまり、神経細胞が死んで脳の萎縮や記憶力、理解力の低下などを起こし、やがて死に至る難病だ。