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ブックマーク / manba.co.jp (6)

  • 「浦沢直樹の漫勉」と諸星大二郎の「謎」【夏目房之介のマンガ与太話】 | - マンバ

    いやあ、まさか諸星大二郎先生が漫画を描いている瞬間を目にできることが今生であろうとは思わなんだ。 NHK「浦沢直樹の漫勉」*1という番組である。浦沢直樹が漫画家と、その執筆場面を5台の固定カメラで撮った映像を見ながら、毎回語りあう。浦沢は、漫画家の中では批評的で実践的な言葉を持つ作家*2で、作家ごとに重要なポイントを言葉で探り、対話で進めてゆくことができる。その手練は見事である。 また漫画家は、喋りが苦手で、うまく言葉を繰り出せない人も多い。漫画をよく知らない取材者に対して、時に見当違いな発言になったり、寡黙になってしまうのは、漫画の制作作業の内訳について双方が語りあえる言葉を持っていないからなのだ。 困ったことに漫画家は、一方でちょっとした違和感にも繊細に反応し、「何か違うな」と思うと、聞かれたことに過剰に否定的にふるまいがちだったりする。なので、発言がいつも隔掻痒な違和感に満ちたりも

    「浦沢直樹の漫勉」と諸星大二郎の「謎」【夏目房之介のマンガ与太話】 | - マンバ
  • 『ブラック・ジャック』は人情医療マンガだ | マンバ通信

    シリーズで「人情マンガ」について書くことになった。 さて、第1回をどうするのか? で悩んだ。「はじめよければおわりよし」である。はじめがコケると、あとがしんどい。 夜も寝ないで昼寝して考えたが、やはり、戦後日マンガのパイオニアである手塚治虫の作品から選びたい。 そんなこんなで、栄えある第1回として選んだのが、『ブラック・ジャック』である。 シリアスな医療マンガのどこに人情があるのか、という疑問の声があるかもしれない。だが、謎めいたクールな天才外科医と紹介される主人公のブラック・ジャックは人情に篤く涙もろいキャラクターなのだ。 第1話「医者はどこだ!」では、実業家が仕掛けた罠で無実の罪を着せられ、自動車事故で瀕死の重傷を負った彼の息子に全ての臓器を提供することになった青年を救うために、臓器移植手術と見せかけて整形手術を行う。また、第3話「ミユキとベン」では、末期ガンに冒された愛するミユキの

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  • 【あのマンガは今 第三回】伝説の再誕!令和に読みたい昭和の熱血と知性『男坂』 | マンバ通信

    『男坂』 多くの人が読んだことはあるであろうものの、最新の状況についてはあまり知られていないのではないかという作品の「今」について語るシリーズ「あのマンガは今」。 第三回は伝説の作品『男坂』について語っていきます。 恐らく、漫画史における「打ち切り」の中でも最も有名なものがこの『男坂』ではないでしょうか。 オレはようやくのぼりはじめたばかりだからな このはてしなく遠い男坂をよ… 『男坂』(車田正美/集英社)3巻より 作品の内容は知らなくても、上記の雄々しい「未完」の文字に彩られたラストシーンは知っているという方も少なくないでしょう。pixivで「#男坂」のタグを覗くと、『男坂』キャラクターよりも伝説の最終回のパロディイラストが多く出てくるほどです。 しかし、この『男坂』は1984〜1985年に掛けて連載された後、2014年から何とそのまま作者人による続きが連載開始されるという未曾有の奇跡

    【あのマンガは今 第三回】伝説の再誕!令和に読みたい昭和の熱血と知性『男坂』 | マンバ通信
  • 老後2000万時代に読む藤子F「定年退食」、そして浅野いにお「TEMPEST」 | マンバ通信

    世相的な話から始めます。 金融庁が公表した「公的年金以外に老後資金2000万円が必要」という報告書は、大きな波紋を呼びました。政府はその報告書を受け取らない=なかったことにしたわけですが、そのインパクトはすさまじく、「年金だけで暮らすのはもう絶対無理なんだな……」というのが国民の間に暗黙のコンセンサスとして根付いた感はあります。実際あちこちの雑誌やウェブサイトで「どうやって2000万円ためるか」みたいな特集やってるし、NISAiDeCo始める人も増えたらしいし。 というか「老後2000万円」って絶対、2019年の流行語大賞にノミネートされますよね。なんなら大賞取るかもしれない。それくらいインパクトのある言葉でした。 で、このニュースを見たときに、こう思ったのです。 「藤子・F・不二雄の『定年退』の世界が、ついに現実化した」と。 僕だけじゃない。「定年退」を読んだことのある人はきっと全

    老後2000万時代に読む藤子F「定年退食」、そして浅野いにお「TEMPEST」 | マンバ通信
  • 『動物のお医者さん』読まれてないんじゃないか疑惑について | マンバ通信

    「若い子たち『動物のお医者さん』(佐々木倫子)のこと全然知らないんですよ!」 という話をちょっと前に小耳に挟みまして、それからずーっと気になってたんです。ほんまかいなと。そんなことありえるんかいと。なぜなら僕のスカスカの脳内マンガランキングで『動物のお医者さん』は、『ドラゴンボール』級とは言わないがTOP10に余裕で入る作品であり、誰でも知ってる傑作マンガと思っているからなんですね。 だって『動物のお医者さん』が大ブレイクしていた頃(大ブレイクしてたんです)、街を歩けばそこらじゅうにシベリアンハスキー(同作品の主役犬チョビの犬種)を見かけたじゃないですか。 『動物のお医者さん』 佐々木倫子(白泉社) 寒冷地に強く夏に弱かいとか、半端ない運動量が必要な犬種ゆえに、ちゃんと飼えない人たちがわんさと登場して、社会問題化したりとかもしてましたよね。あんなにデカい、般若ヅラの犬がうじゃうじゃいたんで

    『動物のお医者さん』読まれてないんじゃないか疑惑について | マンバ通信
  • ドカベン31巻のすごさについて言いたくて……夏 | マンバ通信

    最初に結論を言いますね。 「ドカベン」31巻は、「ドカベン」シリーズ史上最高の巻である。 水島新司「ドカベン」31巻 (少年チャンピオン・コミックス) 自分と「ドカベン」との出会いは高校生のとき。古市で32巻セットを買って、そのときはそれが全巻セットだと思っていたんですけど、32巻は殿馬が世界的な指揮者アルベルト・ギュンター氏のもとへ旅立つところで終わり。調べたら、チャンピオンコミックスの「ドカベン」って全48巻なんですよ。「古売った人、中途半端なところで買うのやめたんだなー」と思いながら、続きを買い足し、48巻まで読み切ったとき。 とつぜん売り主の気持ちがわかってしまったのです。 「31巻だ。31巻があまりにもよすぎたから、それ以降のストーリーが色あせて見えて、買う気がなくなってしまったに違いない」と。 売り主の気持ちというか、つまりは僕の気持ちなんですけども。 もちろん31巻以降も

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