日本に近代の幕開けを思い知らせた事件は1853年の黒船来航だった。その15年後に成立した明治政府は当時の世界情勢の変化に覚醒し、日本が進むべき方向について明確なビジョンを掲げ、必要な政策を断行した。 欧米先進国に追いつくことを目指し、富国強兵・殖産興業を国家目標に掲げ、産業競争力の強化、その基礎となる教育水準の向上、政治・経済・社会体制の近代化等に注力した。1945年に太平洋戦争での敗戦を経験したが、その挫折も見事に克服し、1980年代、我が国はついに明治維新以来の悲願である先進国へのキャッチアップを実現した。 国家目標を見失い迷走を続ける日本 しかし、その後、日本は長期にわたり低迷する。もちろんバブル経済崩壊および金融危機という経済面の悪影響も大きかった。しかし、それ以上により根本的な問題だったのは国家として目指すべき目標を失い、進むべき方向が分からなくなったことにある。 本来であれば、