全世界が停滞した2020年から、「hyperpop(ハイパーポップ)」という音楽シーンが沸き上がっている。 Google Trendより「hyperpop」の検索数(全世界) インターネットを媒介に今も白熱するhyperpopがユニークであるのは、活躍するアーティストのほとんどが10代から20代の若者であり、とりわけ中心的な役割を果たしているのがLGBTQ+を自認する性的マイノリティだという点だ。 そこで志向される音楽性は、既存世界の音楽表現を集約・衝突させ、砕け散った残骸を「ポップ」として構成するというもの。 この実験的な音楽が若者に熱狂を生んでいるのは、はたして瞬間的な狂乱なのか、それとも新たな音楽ジャンルの門出なのか?(※1) 日本のインターネット音楽で中核的な役割を果たすtomad氏は、「全容は分からないけど、とにかく面白いことが起きているように見える」と語る。 本稿ではこの新興の
世界的に未曾有の事態が続いた2020年。パンデミックは音楽シーンにも並々ならぬ影響を及ぼし、多くのアーティストが、これまでとは違う形態での活動を強いられた。オンラインでのライブが一般的となり、我々リスナーの体験も大きな変化を余儀なくされる中、Travis Scottの『Astronomical』を筆頭に、前例の無い状況下で新たなクリエイションを模索するアーティストの試みに刺激を受けた方は多いだろう。 メインストリームから一歩離れた周縁的な場所でも、オルタナティブかつ刺激的な、今年以降の更なる発展を期待させるようなムーブメントがいくつも起こっていた。 中でも、トラップの文法を下敷きとしながらEDMやフューチャーベースといったダンスミュージックの過剰なポップネスを吸収し、エモラップやロックのテクスチャーをも取り入れた新たなジャンル「ハイパーポップ」は、オンラインプラットフォームを中心に大きな盛
野田努 スコットランド出身のエレクトロニック・ミュージッシャン/DJのソフィー(Sophie Xeon)が2021年1月30日、事故によって亡くなった。アテネの自宅で満月を見るため手すりに登った際、バルコニーから滑り落ちたという。没年34歳。なんということか。 ソフィーの並外れた才能はひと言で言い表すことができるだろう。オウテカと〈PCミュージック〉の溝を埋めることができるおそらく唯一の存在だったと。トランス・ジェンダーの彼女は10年代におけるクイア・エレクトロニカ(アルカないしはロティックなど)を代表するひとりでもあったが、同時にヴェイパーウェイヴと並走していた、“楽器としてのPC” を使う世代によるエレクトロニック・ポップ・ダンス・ミュージックにおけるもっとも前衛的なアーティストでもあった。 アンダーグラウンドにおける彼女の最初の名声は、グラスゴーのダンス・レーベル〈Numbers〉の
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