広島県に住む鶴田花江つるたはなえさんは、自宅のクローゼットで見覚えのない人形を見つけた。 手作りと思われるその人形には、妙なものが入っていた。 部屋 私が鶴田花江さんと出会ったのは、去年の夏のことだった。オンラインのヨガ教室に入会した際、彼女も同じく生徒として参加しており、授業後の雑談で親しくなった。 それからしばらくはLINEなどでやりとりをしていたのだが、私が腰を痛めてヨガ教室を退会してからは、花江さんとの関係もだんだん遠のいていった。 ところが先々月のはじめ、久々に彼女から連絡がきた。 「相談したいことがあります」 なにやら、ものものしい雰囲気だ。 相談内容を記す前に、少しだけ彼女について説明したい。 花江さんは、五十代のパート従業員で、サラリーマンの夫と二人で暮らしている。 夫婦には、雄大ゆうだいさんという20歳の息子がいるが、去年の春、一浪を経て東京の大学に合格し、現在は広島を離