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読み物に関するhokorobiのブックマーク (84)

  • 「うちら」の世界 - 24時間残念営業

    2013-08-06 「うちら」の世界 最近は冷蔵庫に入ったりなんかくわえたりするのが流行りらしいです。 このへんのことについては、書こうと思ってうまくいかなくていくつか文章を放置してあったんだけど、今日、どこぞのまとめ見て不意にまとまったので書いてみる。 なおこのエントリは、来だったらもうちょい精密に考えなきゃいけないところを、自分の経験に引き寄せすぎて、ちょいとざっくりと処理しちまってるので、あんまり論としてはよいものではないです。 さて、件の炎上した人たちについては、バカに見える。現実問題としてアホだなあとは思うわけだが、俺自身の思想によって、バカであるという判断では終わらせられない。もしバカなのだとしたら、過去にも同様にバカはいたはずで、過去のバカと現在のバカはあまり変わらない、彼ら、彼女らだけが特異的にバカなのではない、と考えるわけだ。つまり、彼ら、あるいは彼女らが悪いというの

  • その世界を保存する - 傘をひらいて、空を

    結婚退職する社員の送別会に出て、けれども部署もちがうしそんなに多くの接点があったのでもないから、一次会で手を振って別れて、親しくしている同僚ふたりと、別の場所に移動した。夜で、金曜日で、洞窟めいた細長い店の、いちばん奥のテーブルのぐるりに座って、女ばかりで、私はなんだか、嵐の終わりを待っている原始人になったみたいな気持ちする、と思う。 後輩がフルートグラスを軽く掲げ、いやあ正直ほっとしました、と言った。先輩が自分のグラスを手に取ろうとしてやめ、手の置き場に困ったように動かしたあげく、膝の上に置いた。磯西さんとなんか、あったの、と訊くと、後輩は大きい声でいかにも愉快そうに笑い、マキノさんはのんきでいいなあと、そんなことを言う。後輩は入社四年目で、そのあいだ三度ばかり、辞める社員とふたりで話す必要が生じたのだけれども、いちばん小さい会議室でおこなわれた話の半分以上が業務内容から離れていて、では

    その世界を保存する - 傘をひらいて、空を
  • #834. 紙の恩寵

    よく考えてみたら紙というものはたいへん偉い存在で、その恩というのはなかなか簡単に書き表すことはできない。その恩、紙のありがたみということで言うと、無くて困る状況でまず思いつくのはたいていトイレの中ではないかと思うが、ええとその、そういう尾籠な話はさておくとして、それ以外の場所においても、紙は必要不可欠な存在である。たとえばそうだな、メモをとったり漢字を練習したりするのに困る。 しかるに最近、紙は迫害されている。ペーパレス化の流れのことである。私が今籍を置いているところの職場においても、以前は何をするにも紙の書類を回していたのが、今はネット上にあるデータ的なものを回覧している。十年くらい前に私が誰かに訊かれていたら、いやそんなことあるまいよ、と言っていたと思う。なんだかんだ言って十年後も二十年後も我々は、結局ハンコを集めた紙の書類をお隣へおとなりへって回して仕事をしているよ。だってハンコとか

  • あなたの高貴な仕事 - 傘をひらいて、空を

    フロアのちがう部署に電話をかけると、なんだかずいぶん長いこと呼び出し音が鳴っていた。知っている声が出て、わあ、マキノさん、と言う。顔見知りの、すれ違うと用がなくてもにこにこして近寄ってきて他愛ない話を少しだけしていくような、可愛い人だった。相手が私だからそうするというのではなくて、多くの人に彼女はそうなのだった。あの愛想のいいお嬢さん、と私の先輩なんかは言うけれども、ほんとうは社歴も長くって、その呼称が似つかわしいキャリアの持ち主ではなかった。彼女は華やかな声で、私のつないでほしかった人を呼んだ。 彼女の所属する部署のリーダをつとめる同僚を見つけて、内線、減ったの、と訊くと、減らした、と彼はこたえる。夜中で、自動販売機のところに私たちはいて、だからまずはそれぞれが飲みものを買ってプルタブを引く。大きい音、と私は思う。大きくて、なんだか大げさだ。美味しそうに聞こえるように、きっとデザインされ

    あなたの高貴な仕事 - 傘をひらいて、空を
  • 杜子春―ポスドク編|Colorless Green Ideas

    無職の博士の前に現れた白衣を着た老人。老人は仙人ならぬ専任のようで、博士を助けるために手をさしのべる。その結末やいかに? 文 一 或春の日暮です。 とある大学の西の門の下に、ぼんやり空を仰いでいる、一人の若者がありました。 若者は無職の博士といって、元はしっかりとした大学院で学位をとったものでしたが、学位取得後も職はなく、奨学金という名の借金ものしかかり、今はその日の暮しにも困る位、あわれな身分になっているのです。 「日は暮れるし、腹は減るし、その上もうどこへ行っても、雇ってくれる所はなさそうだし――こんな思いをして生きている位なら、いっそ走ってくる電車へでも身を投げて、死んでしまった方がましかも知れない」 博士はひとりさっきから、こんな取りとめもないことを思いめぐらしていたのです。 するとどこからやって来たか、突然彼の前へ足を止めた、白衣を着た老人があります。それが夕日の光を浴びて、大

  • プレパラート・テスティング - 傘をひらいて、空を

    さっきまでグラスだったものを、彼は見る。代わりを買いに行くのが面倒だと思う。それが自分の手を滑りおちた原因を、彼は把握していない。彼のてのひらの感覚はどこか遠く、それは今にはじまったことではない。のろのろと彼は破片を集める。紙の袋に入れる。あっと声をあげて反射的にガラスの破片の散らばった場所と反対の側にからだを落とす。左足に刺さった破片を、舌打ちして抜いた。いまいましかった。絆創膏なんか持っていなかった。片足で歩いているつもりでよろけて、床に血の跡がついた。もう一度舌打ちをして、怪我の処置のための商品が置いてあるコンビニエンスストアを思いうかべた。それはとても遠いもののように思われた。そこにたどり着くことはとうていできない、無茶な相談みたいな気がした。足にタオルを巻いて彼は、泥のように眠った。 そんなわけで腫れちゃったんだと彼は話す。めんどくさくてさあ。今朝コンビニでマキロンと絆創膏のでか

    プレパラート・テスティング - 傘をひらいて、空を
  • 小籔千豊「亡くなった母親に対して思うこと」

    2013年01月05日放送の「ざっくりハイタッチ」にて、悪性リンパ腫で亡くなった母親について、小籔千豊が語っていた。 小藪千豊「僕も色んな小学校や大学とかで講演をさせていただくんですが、みなさんに当に言いたいのは、親孝行をしていただきたいな、ということでございます。僕は座長になる1年前に、母親を亡くしまして。母親が死んだのが、55歳のときです。悪性リンパ腫という、白血病のような、血液のがんで亡くなりました」 「闘病して、1年くらいですかね、亡くなりまして。嫁はんとビックカメラに行って、パソコンを買おうかとしてたときです。貧乏だったので、やっとパソコンを買えるな、どれにしようかなと選んでたときです。クリスマスのときですわ。その時に、オカンから電話掛かってきまして」 「僕のオカン、サバサバしてますし、はっきり言って僕より口が悪い。ホンマに厳しい母親ですから、弱音なんか吐くこともない。めったに

    小籔千豊「亡くなった母親に対して思うこと」
  • 墓荒らしの量刑 - 傘をひらいて、空を

    あなたは私に気を許してなんでも無防備に見せている、それが気持ちいいから私にはあなたのことがわかると誇示したかったんだと思う。彼女はそのように話す。とても醜い欲望だよ、許されないのも承知の上で私はそれに負けた。だからしかたがないんだよ。 彼女の友人がそんなのを織り込んで彼女を許したらいいのにと私は思う。でもそれは観客である私の欲望にすぎない。 不自然に白い皮膚を押して古いなと彼女は思う。古い古い傷だ。ほとんど傷でないように見える。なにかの拍子に色素が抜けた箇所のような。でもそれはあきらかに鋭角を持つ切り傷のかたちをして、深く切ってぱっくりと割れたのでなければ人体にそんな痕跡のつくはずのないことを彼女は知っていた。そしてそれを口にした。いつ切ったの。 彼女はそれを見慣れていた。彼女が友人にアーモンドの油を塗ってその不器用な筋肉をほぐしてやるのは今にはじまったことではないし、人に触れるとき彼女の

    墓荒らしの量刑 - 傘をひらいて、空を
  • 現代ビジネス×代官山 蔦屋書店 コラボ企画第1弾馬場康夫(ホイチョイ・プロダクションズ)トークライブ【前編】「電通マンから学んだ『戦略おべっか』の真髄」() @gendai_biz

    現代ビジネス×代官山 蔦屋書店 コラボ企画第1弾 馬場康夫(ホイチョイ・プロダクションズ)トークライブ【前編】 「電通マンから学んだ『戦略おべっか』の真髄」 聞き手:松嶋あすか(フリーキャスター) 松嶋: を書かれたのはずいぶん久しぶりですが、これだけ時間が空いたのは何か事情があるんですか? 馬場: 久しぶりと言えば久しぶりですが、いちばん最初にを出したのが1983年の『見栄講座 ―ミーハーのための戦略と展開―』。それから、『気まぐれコンセプト』『OTV』『極楽スキー』と3年間に4冊くらい一気に出して、その次にを出したのは『東京いい店やれる店』でした。これが1994年のことなので間に7年空いています。そののあとで出したのは『気まぐれコンセプト クロニクル』で、これがその13年後の2007年のことです。それからまだ5年しか経っていないですから、あんまり時間が経っているような感じはしな

    現代ビジネス×代官山 蔦屋書店 コラボ企画第1弾馬場康夫(ホイチョイ・プロダクションズ)トークライブ【前編】「電通マンから学んだ『戦略おべっか』の真髄」() @gendai_biz
  • "Hello world!"

    このお話はたぶんフィクションです。実在の個人や企業とはあんまり関係ありません。そういうことにしろください。 10年前、20代になったばかりの頃の僕は、今思えば当に最低な生活を送っていた。高校を中退し、実家とは疎遠で、友達もなく、金もなく、夢も希望もなく、ただバイト先と自宅を行き来するだけの毎日。いつも視界には霞がかかったようで、底の見えない空虚さだけが僕の心を支配していた。 それでも趣味らしいものはあった。オンボロマシンにRedHatを入れ、ダイヤルアップの細い回線で自宅サーバを立て、Perlでガラクタのようなプログラムを動かす。そんな子供じみた遊びだけど、プログラムを組んでいるときだけは空虚さを忘れ、画面の中に没頭できた。 ただ、そのときの僕はもうすでにいろんなものに打ちのめされていて、若者にありがちな全能感などというものは霧散していた。自分がプログラミングで何かを成すだとか、それを仕

    "Hello world!"
  • こっち向いてよ、ねえ、知ってるんだから - 傘をひらいて、空を

    子どもってすぐ熱とか出すよねと誰かが言う。まだからだができあがっていないからと別の誰かが言う。私たちは高校の同級生で、近隣の学年がまとまって集まる何年かに一度の同窓会の、大きな会場の隅のほうにいた。いちばん早い時期に子どもを産んだ元同級生の、その子どもがもう十になったというので、こっちが年とるはずだわあといような、定番のやりとりを私たちは済ませて、それから子育ての苦労話みたいなものに入ったところだった。 四、五歳まではほんとにしょっちゅうお熱、でも小五だともうだいぶ安定してきた感じ。それを聞いて、私のふたつ隣にいた男がえっと言う。面影があるので名前を思い出すことができた。もちろん高校生のときと同じではなくて、年はとっているけれども、総体としての色あいみたいなものが変わっていない。おとなしいのではないけれども、はしゃぐときも何人かではしゃぐから目立った印象を残さない、そういう男の子だった。私

    こっち向いてよ、ねえ、知ってるんだから - 傘をひらいて、空を
  • 彼女のかわいい女の子 - 傘をひらいて、空を

    この子こんな顔して仕事はえぐいんですよ。上司が言い上司上司が笑い彼女もにっこりと笑う。どいつもこいつも顔に言及しないと私の仕事の話ができないみたいだと彼女は思う。顔で仕事をしているとでもいうみたいに。私の顔、眉の薄い目の丸い栗鼠めいた顔、剥がして家に置いて出ることができない、早く老けたらいいのに、でも女の顔だからきっとそれでは、充分ではない、上司やいっそ上司上司みたいな、年とった男の顔につけ替えたい、そしたら私の仕事はきっとずっとうまくいく。でもそれはできない。だから彼女はかわいい女の子の顔を保持する。 もう頑固でねえ、言うこと聞きやしない。お父さん苦労するねと上司上司がこたえ彼らはほがらかに笑う。彼女も笑う。社交。上司は親なんかじゃない。上司上司でしかない。私は私の働きに応じて報酬をもらっていて私はちゃんとしたプロだ。それなのに彼らは私の性別と容姿と年齢という付属物だけを根拠に保

    彼女のかわいい女の子 - 傘をひらいて、空を
  • 彼女の負債と有罪 - 傘をひらいて、空を

    私たちは空想上の通帳をあいだにはさんで難しい顔をしていた。空想上のでないものをテーブルの上に置くことはなんだかできなかった。安全のためというより違和感のために、私たちはそれができないのだった。にぎやかな駅の前にはほとんど必ずあるようなチェーン展開のありふれたカフェのありふれたテーブルの上に個人名の通帳を置くことがどうしてか耐えられない。むきだしの通帳が似合うのは誰かのおうち、でなければ銀行のカウンタだけだと私は思う。 それは彼女が彼女の若いころに助けられた「おばさま」のために就職以来ずっと貯めていた預金で、今ではけっこうな金額になっていた。おばさまとは言うけれども血はひとつもつながっていない。わけあって血のつながった人間が誰ひとり彼女の身分を保障しないので、なにかというと保証になる人間を求められた若いころはとくに、彼女はおばさまに助けられていたのだった。おばさまは大胆な嘘だってついた。必要

    彼女の負債と有罪 - 傘をひらいて、空を
  • もう手放しで憎めない - 傘をひらいて、空を

    育児休暇中の里佳子さんが赤ちゃんを連れてあいさつに来た。赤ちゃんはなにしろ小さかった。小さいねえ小さいねえと言うと里佳子さんは可笑しそうにだって赤ちゃんだものとこたえた。母子の通された空き会議室には入れ替わりいろんな社員が訪れていた。里佳子さんはにこにこ笑って、変わっていないように見えた。 私がデスクに戻ろうとしたとき先輩が里佳子さんに尋ねた。その声はさりげなさを装うことにあきらかに失敗していた。この先輩はお芝居というものが一切できないのだ。旦那さまはお元気。彼女の発言とともに空気の色がわずかに変わり、ええとっても、と里佳子さんはこたえる。家事が行き届かなくなって機嫌悪くなるかと思ったらそうでもないのね、子どもがいるといいわね、ちょっと散らかっててもそんなに怒られないの。私たちはそっと目を合わせ、早すぎも遅すぎもしない完璧なタイミングで辞した里佳子さんを見送り、女ばかり三人で昼に流れた。

    もう手放しで憎めない - 傘をひらいて、空を
  • 満点の女の子 - 傘をひらいて、空を

    怒ってるの。子どもの声が言う。ごめんなさいと言う。視覚の認知と聴覚の認知の不調和に私は一瞬だけ眉根を寄せ、寄せきらないうちにここには大人しかいないと再度認識する。 私は彼女を見る。大学の遠い後輩で、ちょっとしたできごとのあと、ときどき話すようになった。彼女はこの春に大学を出て私と同じ業界に就職した。若い人に助言めいたせりふを言う自分がくすぐったくってうれしかった。彼女は会社勤めをはじめて身なりも話すこともずいぶんと大人っぽくまとまって、けれどもアイライナーがうまく引けないと言っていた。そのような女性と私は話をしていた。でもあれは十の子どもの声だった。二十三の社会人の声ではなかった。そういえば私が彼女に非難がましいことを言ったのは今日、ついさっきがはじめてだったかもしれない、と私は気づく。 私はうんとやさしい声をつくる。怒ってないよと言う。私の感覚ではちがうと言いたかっただけだよ。それにたと

    満点の女の子 - 傘をひらいて、空を
  • talk to me, - 傘をひらいて、空を

    たのしそうに聞くねえと半ば呆れた声で彼女は言う。半ばでなくて完全にあきれた彼女の声が私は好きだから細心の注意をこめてばかの顔をつくる。それから、だってあなたの話はたのしい、と言う。完全なばかの声で。 彼女はくいと首を反らして私の好きな顔をする。私はひとまず満足する。そうしてそこいらで摘んだみたいなミントの葉を山ほどつっこんでグラニュー糖の粒でもって乱雑にすりつぶしたほとんど下品なモヒートをのむ。彼女はこんな落ちのない話が好きだなんてあなたばかでしょうと言い、そうですと私は誇らしくこたえる。 私は落ちとやらのない話が好きだ。遠くの箱からこぼれ落ちたように文脈に回収されない話、焦点や筋道や感情がうっすらと見えるような見えないような話、大切なのに不意に大切でない相手(私だ)の前でしっぽを出してしまった話、あるいは今日のお昼はカレーべましたみたいな話が好きだ。リハーサルされた話は好きじゃない。

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  • くれてやる笑顔と瑣末で効果的な自尊心の折りかた - 傘をひらいて、空を

    部署の中に空いたデスクがひとつあって会議室をとるほどでもないときのミーティングスペースになっている。私はそこで今ふたり組で仕事をしている相手と細かな打ち合わせをしていた。少し厄介な問題があることを相手が告げて、困りましたねと私はつぶやく。それならとやけに大きな声がして私たちは話を止める。声は滔々と対策を述べ私は困ったなと、さっきとはちがう部位で思う。それはすでに試された手段だった。その人は私の口を利きたい人ではなかった。 声が発されてわずかに数秒、そこにかぶせて別の声が響く。槙野さん資料要りますか。私は瑣末な窮地を救われて振りかえり、同時に救った人を認識してなぜだか背筋を寒くする。返事をしたくない声はまだ続いている。彼は背後の声を再度覆うために最低限必要な音量の明瞭な口調で、役に立つと思いますと告げる。 実際のところそれはかなり役立つものだった。彼はそれをプリントアウトして提供した。打ち合

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  • お母さんは今日もあなたが大好き - ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・小さい... - Yahoo!知恵袋

    お母さんは今日もあなたが大好き ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 小さいお子さんのいらっしゃる方々の話題を拝見して 思い出したことがありました。 自転車の後ろにつけていた子供用座席のことです。 うちの息子は中学生になりましたが、 あの子が小さい頃は今のようにいろんな種類のおしゃれな子供用座席って あまりありませんでした。 金属製のカゴのような、簡単なものです。 息子が小学生になった時、 もう、乗せることはないからと、その座席をはずしたんです。 長く使っていたのでいたるところが錆び付き、ドライバーを使ってもなかなかはずれない。 必死になってはずしながら一息ついたとき、急に涙が溢れてきました。 私は車の運転が出来ないので、 息子とどこかに行く時にはいつでもこの自転車と一緒でした。 具合が悪くて小児科に行く時、 寒くないようにバスタオルで息子をく

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  • 悲鳴として悪は成される - 傘をひらいて、空を

    喉の詰まる感覚をおぼえて自席を離れた。なにかがときどき彼の喉に発生するようになって数ヶ月が経つ。何を飲んでも流れないけれども儀式めいてなにかを飲む。自動販売機の前で彼は立ち止まる。梅雨冷えの空気に肌が薄く粟立ち、よく冷えた缶が飲み物に見えなかった。 コーヒーを飲もうと思う。管理職が私物のコーヒーメーカを持ちこんでいる部署がある。顔を出すと当の管理職である加賀さんだけがいて彼はひどくうろたえる。コーヒー淹れましょうかあと言われて、なんだか逃げ場がなかった。時間を考慮せず申し訳ございませんと彼は言う。加賀さんはへんな顔をして、僕が淹れるコーヒーが飲めねえかあ、と芝居がかった口調をつくる。 ああ中堀さんコーヒーですかと声が聞こえて彼はびくりと振り返る。加賀さん唐揚げ弁当ありましたよ。わあい。槙野さんは何たべるの。豆サラダとおにぎりです。ダイエットお?やだねえ。ダイエットがいやなのは加賀さんです。

    悲鳴として悪は成される - 傘をひらいて、空を
  • 彼女の悪い趣味 - 傘をひらいて、空を

    彼女は彼を甘やかすのがとてもうまい。彼女は彼の安い欲望の諸相を熟知している。持ち上げて。連絡して。連絡しすぎないで。呼んだら来て。顔色を読んで。きれいにして。安心させて。優越させて。頼るそぶりをして。好ましい内容で。 彼女はそれを軽々とクリアする。彼女の能力は高い。その程度のことは彼女の娯楽の範疇だ。甘い真綿を敷くように彼女は彼をいい気持ちにする。彼女の有毒であることは私の目にはあきらかだけれど、彼女はもちろんそれを彼に見せない。キャンディみたいなパッケージ、両端を引けばころりと落ちる。そんななりをしている。 彼が彼女を愛玩しはじめて、そう見えて実のところ彼女が彼を愛玩しはじめて、もうすぐ一年になる。夏になると彼女は、ねえ悪巧みがしたいなと言う。彼女は悪い企みごとがとても巧い。夏が来たからねと私はこたえる。彼女のそれは季節性の病だ。悪巧みのために彼女が彼を引っかけたのが去年の夏で、それはす

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