11月下旬から12月上旬の明け方の空に,肉眼でも見えると期待されている「アイソン彗星」。11月29日に太陽へ最接近するまであと2週間となって,“急増光”が報告された。 ■ 崩壊や消滅の可能性? 11月13日〜14日にかけて,アイソン彗星が“急増光”(アウトバースト)していることを海外の天文家らが報告した。アイソン彗星の明るさが24時間で1等級(約2.5倍)明るくなり,ガスの放出量も2倍になったのだ。この増光に対して「崩壊がはじまったのではないか」といった指摘がある。過去にそうした例があったからだ。 彗星の本体は,粒のようなもの(ちり)がたくさん混じっている氷の塊である。太陽に近づけば近づくほど温められて蒸発量が多くなるために,明るく大きくなり,尾も長くなるのが一般的だ。その一方で,太陽に最接近するまでに,氷の塊が崩壊してガスやちりの放出量が一時的に増えて明るくなったのち,急激に暗くな