スポンサーリンク どこかアジアの国の片田舎と思われる風景。 大きな木が点在し木陰をつくる中をまっすぐに伸びる車道だけが舗装されている。 車道の両脇は赤茶けた土がむき出しになり飯屋や雑貨屋の掘っ立て小屋が数件並んでいる。 掘っ立て小屋の裏手には小さなドブ川が流れていて、風に乗りヘドロ臭や果物が発酵したような饐えた汚水の臭いが時折漂ってくる。 頭上にはじりじりと照りつける太陽。 車道を走る車はなく人も歩いていない。 周囲に音はなく、僕はいつも独りでバックパックを背負いそこに立っている。 恐らくタイかインドの地方都市間の街道沿いだろうと思うのだけど特定はできない。 実際に見た記憶があるような無いような朧な記憶の影法師。 頭の片隅にいつか僕はその場所に確かにいたのだという記憶の残滓。 それと同時にあれは想像の産物、或いは記憶の混濁だという曖昧模糊とした思い。 宙ぶらりんで不安な気持ちを抱きながら僕