神様でさえ理性には束縛される、とブラウン神父はいった。より正確には、地上においてただ教会のみが、神そのひとでさえ理性に束縛されるのだと主張しうる、と(ブラウン神父の童心)。君らの神の正気は一体どこの誰が保障してくれるのだね? 教会に決まってるじゃん。さて理性とはロゴスでありことばである。はじめにことばありき、のアレね。神が何者であろうと言には力と権威が宿る。でなければ「聖痕」の発動はありえない、というのはさておき。 神より金が強いとは言わない。だが、父なる神でさえ契約には束縛される。 そんなわけでこいつは正しくキリスト教的コメディである。しかも家族である。つまりホームコメディ。したがって登場人物(天使も悪魔も父なる神そのひとも)が親しみやすく欠点を備えたダメ人間揃いである、というのはまったく当然なのである。 べつのいいかたをしよう。二千年前の約束も、天と地をつなぐ契約の力も、愛も、贖いの子