今の自分は、輝かしい未来の自分を実現するための手段でしかない。 そんな風にぼくは考えていた。 そしてそれは、自分が想像する自分自身の未来が輝かしいものである場合に限り、うまくいく考え方だった。 年を取ると、未来の輝かしさは失われていく。 若い頃に描いていた、世の中で大活躍をし、脚光を浴びているはずだった自分にはついになることができず、これから先は年老いて、ただ衰えていくだけの未来しかない。 これからの人生はただ負け続けるだけの空しい消化試合となる。 だから、年を取ったら人生における時間のとらえ方を変えていく必要がある。 ぼくはそう考えた。 遠い未来ではなく「いまここ」の現実を見つめ、目の前のことに集中して生きていけるようにする必要がある。 そう考えた。 ところが、どうもこの考え方には問題がある。 いくら「いまここ」に集中しようとしても、ぼくの毎日は、これから先のことと切り離すことはできない