自民党の小泉進次郎元環境相(43)は、9月に予定される党総裁選に立候補する意向を周囲に伝えた。複数の党関係者が20日、明らかにした。総裁選では小林鷹之前経済安全保障担当相(49)が19日に出馬を表明した。40代の総裁選候補が2人も出馬するのは異例で、党の「世代交代」も争点に浮上しそうだ。一方、石破茂元幹事長(67)は24日に地元の鳥取県で、河野太郎デジタル相(61)は26日に出馬表明する方向で最終調整に入った。 自民関係者によると、小泉氏は自民中堅に「総裁選に出る。長く一緒にやってきたから、ごあいさつだ」と出馬の意向を伝えた。また、別の「ポスト岸田」候補からの支援要請に対しては「総裁選に出るから応援できない」と断ったという。党ベテランには「出る準備をしている」と意欲を伝えた。 小泉氏は出馬について「真剣に考えて判断をしていきたい」と意欲は示しつつ、明言を避け続けている。党幹部は「今回の選挙
平井卓也氏の親族が、平井氏が代表を務める政党支部に寄付した際の寄付金控除に関する書類(画像の一部を加工しています) 自民党の平井卓也広報本部長の親族3人が2020~21年、計4000万円を平井氏が代表を務める党支部に寄付し、所得税の一部を控除される税優遇を受けた疑いがあることが判明した。平井氏を巡っては、本人が1000万円を党支部に寄付し、税優遇を受けたことを既に認めている。専門家は「国民の政治参加を推し進める制度の趣旨にそぐわない」として、政治家本人だけでなく親族の寄付も税優遇の対象外にすべきだと指摘している。 租税特別措置法では、個人が政党などに寄付した場合、寄付額の約3割が税額控除されるか、課税対象の所得総額から寄付分が差し引かれる。 香川県選挙管理委員会が毎日新聞に開示した「寄付金(税額)控除のための書類」によると、平井氏の妻は20~21年に計2500万円、母親は20年に1000万
「離党勧告」の処分が決まったことを受けた記者会見を終え、会場を後にする世耕弘成参院議員(左)=東京都千代田区で2024年4月4日午後6時52分、宮武祐希撮影 国会議員が、自ら代表を務める政党支部に寄付して所得税の控除を受ける「税優遇」問題。その舞台となった政党支部は、これまでも政治資金に関するルールの「抜け道」として使われてきた。 6月に成立した改正政治資金規正法には税優遇の見直しに向けた規定が設けられたものの、政党支部の在り方を巡る議論は手つかずのままだ。 <関連記事> ・【スクープ】平井卓也氏、親族も税優遇疑い 党支部に計4000万円寄付 ・無視された「おたかさん」の警鐘 政治献金“抜け道”温存25年 「秘書に任せきり」変わらぬ政治家の意識 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件が2023年12月に発覚し、国会は規正法改正を議論した。パーティー券購入者の公開基準を「20万円超」から「5
カレーライスの調理費用が過去10年で最高値に――。 帝国データバンクは13日、材料費や水道光熱費を加味して独自に算出した6月の「カレーライス物価」が1食あたり329円(前年同月比30円増)に上り、2015年以降で最も高くなったと発表した。 最近の物価高を、手ごろでおいしい食卓の味方に凝縮させて示したユニークな指標で、同社は7月に高値のピークを迎えると予測している。 総務省の「小売物価統計調査」を基に算出した。 具体的には、市販のカレールー半分▽ニンジン▽ジャガイモ▽タマネギ▽輸入牛肉▽ご飯(銘柄はコシヒカリ)▽食用油――を使って6食分を調理したとの想定。炊飯器でご飯を炊くための水道光熱費も計算に入れた。 その結果、6月の1食分の内訳は、肉や野菜といった具材が203円(前年同月比20円増)▽ご飯が97円(同8円増)▽カレールーが25円(同1円増)▽水道光熱費が4円(同増減なし)――となり、計
フリーアナウンサー・川口ゆり(29)が所属する事務所「VOICE」が11日までに更新サイトを更新。川口の不適切投稿をめぐり、契約を解消したと発表した。 公式サイトでは「当社は、2024年8月10日(土)をもって、川口ゆりとのアナウンス事務所VOICE所属契約を解消いたしましたのでご報告申し上げます」と告知。 「川口氏はX(旧Twitter)のSNSに於いて、異性の名誉を毀損する不適切な投稿行為が認められたことから、当社はアナウンス事務所として、所属契約の維持は困難と判断し、やむなく契約解除通知をするに至りました」とし「尚、当社では、言葉は誰かを傷つけるためにあるものではなく、勇気づけたり愛を語るためにあるものと考えており、言葉を扱う仕事に携わる者としてはあってはならず、大変心苦しく考えております」とした。 また、川口も自身のX(旧ツイッター)を更新し「この度は私の不用意な発言で不快にさせ、
イラストレーターの花邑(はなむら)まいさんの元に、女性漫画家の代理人弁護士から「通知文」が届いたのは2019年6月のことだった。 「作品が花邑さんにトレース(なぞり書き)されている」 初めは、すぐに解ける誤解だと思っていた。しかし、事態が訴訟に発展し、仕事も失うはめになるとは想像だにしていなかった。 無料メルマガ「裁判Plus 司法のリアル」が配信開始。登録はこちらから 女性漫画家から覚えのない指摘 花邑さんは美術系の短大を卒業後、入社したゲーム制作会社でデザインを担当。13年にフリーのイラストレーターへ転身した。トラブルに巻き込まれたのは、画集も発売し、順調なキャリアを歩んでいた頃だった。 女性漫画家から届いた通知文には、花邑さんが描いたゲームのキャラクターのイラスト300点以上を検証したとあり、線の重なりといった女性漫画家の作品との類似点が挙げられていた。 アニメやイラストの世界で、他
山本槌造の家は茶や谷の川にかかる竜王橋のたもとに今も建つ=高知県檮原町で2024年7月21日、井上英介撮影 井上英介の喫水線 土佐湾を望む高知県須崎市から上り坂が続く。目指すは同県檮原(ゆすはら)町。四国山地で愛媛県と接する。車は非力な軽のポンコツで、エンジンが焼けそうだ。 目的地の「茶や谷」(同町四万川(しまがわ)区)は高知県でも有数の標高が高い集落だ。坂本龍馬は1862年に土佐を脱藩する際、茶や谷から韮(にら)ケ峠を越え伊予へ抜けた。その約80年後の1941年、33歳の壮年が脱藩ルートを逆にたどり、峠から茶や谷へ下りてきた。柳田国男らと並ぶ民俗学の巨星、宮本常一(つねいち)だ。日本じゅうを旅し、地域の古老たちに話を聞いて膨大な記録を残した。彼は茶や谷で一人の老人から生い立ちを聞き取り、戦後に公表した。宮本の代表作「土佐源氏」である(岩波文庫「忘れられた日本人」所収)。 老人は盲目で橋の
東京電力が原発専業の日本原子力発電に対して、毎年支払う基本料金(年550億円)とは別に、原電の安全対策の工事費用として、2021年度からの3年間で約1400億円を支払っていた。支払いの名目は「将来の電力料金の前払い金」だが、原電は敦賀原発2号機(福井県)の再稼働が不許可の見通しとなるなど、原発再稼働の道筋は描けていない。東電の株主などからは妥当性を問う声も出そうだ。 これまで原電は、他社が支払った前払い金(原電から見ると前受け金)の総額を決算書などに記載していたが、支払い元や使い道などは公表していなかった。 原電は東電など大手電力会社が出資する原発専門の電力会社で、原発で発電した電力を大手電力に販売してきた。ただ、東電の原発事故後は運転を停止したままだ。 東電など大手電力は原電の発電がゼロでも、人件費や原発の維持管理費用などを毎年、基本料金として支払う。東電が23年の電力料金の値上げ申請時
東条英機(前列左から3人目)内閣の閣僚ら。有権者が選んだ衆院議員は一人もいない。発足約2カ月後に太平洋戦争が始まった=1941年11月16日 大手メディアが8月に力を入れる戦争報道を、私は一年中続けている。物珍しいのか、夏以外にもしばしば講演やトークイベントに招かれる。 取り上げるテーマの一つが、大日本帝国の戦争と「国民の戦争責任」だ。 1945年8月15日も含めれば80回目となる「敗戦の日」を前に、この問題を考えてみたい。 なお、先回りして言えば、新聞の戦争責任は非常に重い。稿を改めて論じたい。 「補償」の言葉を嫌う政府 30年前の94年12月1日。 衆院厚生委員会で「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律案」と「原子爆弾被爆者援護法案」について議論が交わされていた。 焦点は被爆者に対する補償だ。 原爆に限らず、政府は戦争被害者に対する「補償」という言葉を嫌う。国の不当な行為が国民に被害
展覧会「描く人、安彦良和」を訪れた漫画家の原哲夫さん=神戸市中央区の兵庫県立美術館で2024年7月、谷口豪撮影 兵庫県立美術館(神戸市中央区)で開催中の展覧会「描く人、安彦良和」(毎日新聞社など主催)に、人気漫画「北斗の拳」の作画を担当する原哲夫さんが来訪した。アニメ「機動戦士ガンダム」のキャラクターデザインなどで知られるアニメーターで漫画家の安彦良和さんに「プロになってから影響を受けた」という原さん。安彦さんの歩みをたどる作品に接し「深淵(しんえん)の美がある」と賛辞を贈った。 累計発行部数が世界で1億部を超える「北斗の拳」は1983年、「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載が始まった。原さんは同年、安彦さんが劇場アニメの初監督を務めた「クラッシャージョウ」(83年)のデザインに感銘を受け、画集を購入して「ぼかし」の技術を学んだという。 展示を丹念に見て回った原さんは「機動戦士ガンダムⅢ
2024年度の最低賃金について、中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会は、全国加重平均で時給1050円台半ばとする方向で最終調整に入った。物価上昇を踏まえ、現在の1004円に50円程度上乗せする。引き上げ幅は5%に迫り、実現すれば過去最高を更新する。 最低賃金は、経営者が労働者に支払わなければならない最低限度の賃金。①賃金②労働者の生計費③使用者の賃金支払い能力を考慮し、労使の代表らで構成する審議会が、例年7月末に目安額を決定。目安額をもとに、都道府県ごとの地方審議会が上げ幅を決め、10月以降に適用する。 賃金について、今年の春闘では大企業を中心に賃上げ率が5%台に達し、33年ぶりの高水準に。労働者代表の連合は「賃上げの流れを社会全体に広げる必要がある」として、全都道府県で最低賃金が1000円に達することを目指して、最大67円の引き上げを求めている。 一方、中小・小規模事業者
解体準備が進む旧水神屋。看板はめくれ、建物の外壁は剥離している=茨城県龍ケ崎市佐貫町で2024年2月28日午後0時15分、鈴木美穂撮影 東京と仙台を結ぶ「6国(ろっこく)」こと国道6号。今年5月、茨城県龍ケ崎市の6国と牛久沼の間にある大きな廃虚が取り壊され、更地となった。作家の松本清張にも愛された老舗ウナギ料理店「水神(すいじん)屋」の建物だ。朽ち果てた経緯を追うと、昭和から平成に至る開発で浮き沈みした、ある家族の甘苦がにじんだ。 国道沿いの廃虚 外壁が崩れ、鉄骨がむき出しになっていた。1日約3万台が往来する6国から見える、水神屋の取り壊し前の姿だ。 1971年に建てられた3階建てのレストランと、75年築の5階建てホテルの2棟からなり、2011年の東日本大震災後に営業を終了し放置されていた。 旧ホテルはとりわけ損傷が激しかった。その姿は廃虚マニアたちの関心を集め、肝試しと称して建物内に入っ
手紙やはがきの料金が、10月から約3割上がる。身の回りの物価上昇に拍車がかかる形だが、これで終わりではなさそうだ。郵便の需要が先細りするなか、政府や自民党内では、さらなる値上げや国民負担につながる検討が進んでいる。 「郵便事業の安定的な提供を確保する観点から、情報通信審議会に郵便料金制度のあり方を諮問した」。松本剛明総務相は6月25日、記者会見でこう述べた。 その翌週に開かれた、審議会傘下の有識者会議。資料には、人口減少、SNS(ネット交流サービス)利用の拡大、物価の高騰など、郵便事業への逆風を示すデータが並んだ。 郵便物はピークの2001年度から20年余りでほぼ半減し、郵便事業収支は22年度に赤字へ転落。これまで日本郵便は、収益力を高めようと手紙文化の振興や郵便物を区分する作業の機械化を進めてきたほか、小型荷物の集荷・配送でライバルの佐川急便やヤマト運輸などとも協業した。加えて今秋の大幅
20、21日実施の毎日新聞世論調査で、9月に予定される自民党総裁選で岸田文雄首相が再選され首相を続けた方がいいと思うかを聞いた。「交代した方がいい」が70%で、「続けた方がいい」の11%を大幅に上回った。「どちらとも言えない」は18%。同じ質問をした5月調査でも「交代した方がいい」は72%で、ほぼ横ばい。首相は総裁再選に意欲をにじませるが、首相交代を望む世論は高まったままだ。逆風が収まらない中、…
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