→紀伊國屋書店で購入 本書評は、早瀬晋三著『歴史空間としての海域を歩く』または『未来と対話する歴史』(ともに法政大学出版局、2008年)に所収されています。 2005年11月10日、国営テレビ局フランス2に出演したサルコジ内相は、暴動に参加した移民出身の若者を「ごろつきだし、社会のくずだ」と発言した。なぜ、このような火に油を注ぐような発言をしたのか、疑問に思った人も多かったのではないだろうか。本書を読めば、その一端がわかるかもしれない。また、この書評ブログで2005年11月22日にとりあげたイレートが、アメリカで受けた大学院教育を「アメリカ流社会科学の頑なさと、ときとして、その無意味さに耐える数年」と評した意味もわかるかもしれない。 本書の著者略歴によると、著者(1901~90)は「フランスの哲学者、社会学者。公式的なマルクス主義にとらわれず、柔軟な視点で近代社会の全体像を把握する作業を1