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ブックマーク / note.com/yuuuuuiiiii (8)

  • 平日の夕方、役所のトイレで泣いてしまった|嘉島唯

    この文章は、ツムラ#OneMoreChoiceがnoteで開催する「 #我慢に代わる私の選択肢 」コンテストの参考作品として主催者の依頼により書いたものです。 数年前にできたのであろう、白を基調とした清潔感たっぷりのトイレで、私は泣いていた。なるべく息が漏れないように、歯をいしばり、顔を手で覆いながら涙が止むまでじっと耐える。めんどくさいヤツだと思われるだろうが、小学生の時からたまにトイレに閉じこもって泣いてきた。公の場で突然目頭がカッと熱くなったとき、私は我慢ができないのだ。だから誰にも見られない個室に駆け込んで、なんとかやりすごしてきた。学校や会社や駅のトイレで息を殺して泣いてきたが、役所で涙を流す日が来るとは思わなかった。 役所に来たのは、父の介護保険の申請手続きのためだった。 我が家は晩婚で、私は父が40代のときに生まれた子どもだ。母は私が8歳のときに他界。以来、父は朝6時には家

    平日の夕方、役所のトイレで泣いてしまった|嘉島唯
    honeybe
    honeybe 2023/01/04
  • 「23歳で大学進学。遅すぎるのでしょうか?」の回答|嘉島唯

    「質問箱」にこんな質問が来ていました。 質問者さんは私のフォロワーの中におり、かつTwitterで返信が来るという想定でこの質問を寄せてくれたのだと思います。今回は、とても140字で考えが収まる内容ではなかったので、Twitterよりアーカイブ性が高く、見やすいnoteにて私なりの考えを書いていきます。 ■23歳で大学入学は遅いのか?遅いという定義から必要かもしれません。私の周りには25歳で私大文系の大学に入学した友人もいますし、社会人になってから再入学する人もいるので「遅くない」と思います。 OECDの「図表でみる教育」では、日の大学教育の課題が指摘されています。 上の図を見ると、学士課程プログラム(大学教育)の入学者は日が20歳以下の18〜19歳あたりにポイントが打たれており、OECD加盟国の中で最年少です。 OECD加盟国の平均は20歳以上ですし、日教育面で模倣すべきと言われ

    「23歳で大学進学。遅すぎるのでしょうか?」の回答|嘉島唯
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    honeybe 2020/07/02
  • 坂本龍一は"ボツ"も愉しむ|嘉島唯

    自分が思うままに仕事をしたい。"一流"になったら裁量が与えられるんだろうか。 「それは、傲慢だよ」 こう言われてしまいそうな気がする。坂龍一に、だ。 3月21日に発売される坂龍一のアナログ盤ボックス「Ryuichi Sakamoto 2019」は、彼の1年間の仕事を振り返る内容だ。2019年、坂さんは「Black Mirror」(Netflix)「パラダイス・ネクスト」「米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー」「The Staggering Girl 」「プロキシマ」「さよなら、ティラノ」という6作品のサウンドトラックを手掛けた。 2014年にがんを公表したのが遠い昔なのではないかと錯覚してしまうほどの仕事ぶりだ。 約1年の闘病生活を経て、復帰したのが2016年。このときは山田洋次監督の「母と暮せば」、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の「レヴェナント: 蘇えりし者」の2作

    坂本龍一は"ボツ"も愉しむ|嘉島唯
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    honeybe 2020/03/22
  • エモい文章の作り方|嘉島唯

    エモい。この不明瞭な形容詞が定着するなんて思わなかった。 エモさとは何なのか? Wikipediaには「感情が動かされた状態」、「感情が高まって強く訴えかける心の動きなどを意味する日語の形容詞」と書いてあるけれど、いまいちよくわからない。 一方で、私の文章は、「エモい」と評価をもらうことが多い。謎めいた形容詞で言い表される文章とは一体どういうことなのか? こんなことを書きながらも、自分自身、「あ、これはエモい」と思う作品に出合うことは多い。切なくて、妙に共感して、胸がざわつくあの感じ。単に甘美な言葉を羅列しただけでは、こんなに胸は動かされない。 私は、ひとつ仮説を持っている。 決して同じ体験をしたわけではないけれど、映像が頭に浮かび、追体験したような気分になる。この時、人は文章にエモさを感じるのではないか? それは「固有名詞」×日常性で作れる。 『ボクたちはみんな大人になれなかった』は、

    エモい文章の作り方|嘉島唯
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    honeybe 2018/05/07
  • さよなら、こじらせ女子|嘉島唯

    「お前は俺が考える、現代のこじらせ女子だ」 伸ばしきった長髪を結び、下駄を履いて登校するような同級生に突然そう言われた。 「はぁ?」 その時、私は過労死寸前で休職中。心療内科に通いつつ、映画やアニメを見ては死にたい衝動を抑えているニートだった。 「とりあえずこれを読め」 2011年当時、AVライターとして活躍していた雨宮まみさんの『女子をこじらせて』というだった。 AVに興味を持ったとき、私は自分が「女である」ことに自信もなかったし、だからAVに出ている女の人たちがまぶしくてまぶしくてたまらなかった。「同じ女」でありながら、かたや世間の男たちに欲情されるアイコンのような存在であるAV女優、かたや処女でときたま男に間違えられるような見た目の自分。そのへだたりは堪え難いほどつらいものでした。 序文からすさまじい吐露が繰り広げられ、思わずを閉じた。衝撃的な単語はもちろんのこと、目をそらし続け

    さよなら、こじらせ女子|嘉島唯
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    honeybe 2018/01/16
  • 社畜女子の呪い|嘉島唯

    かつて私は社畜だった。そして、死にたかった。 でもこの言葉を何度も頭で唱えては、生にしがみついていた。 元始、女性は実に太陽であった。真正の人であった。 今、女性は月である。他に依って生き、他の光によって輝く、病人のやうな青白い顔の月である。 平塚らいてうが1911年、「青鞜」創刊時に寄せた文章だ。 「パステルカラーの服を着た方がいいんじゃない?」私は男性に負けないくらい働きたいと社会に出たものの、22〜24歳の間、ずっと自殺を考えていた。以前「『これだからゆとりは』で死ぬ場合もある」というnoteに書いたが、適応障害になったのだ。 原因の1つは長時間労働だろう。仕事の量も多かったが、誰よりも努力すれば結果が返ってくるものだと勘違いしていた。加えて、自分を犠牲にして働くことでしか、存在意義を見出せなかった。 拍車をかけたのが、ジェンダーのコンプレックス。「女だから実力が正当に評価されない」

    社畜女子の呪い|嘉島唯
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    honeybe 2016/10/20
  • ワセジョという幻影|嘉島唯

    きまじめで融通がきかず、きさくでけなげできかん気で、なまじ男子よりもあたま回転がはやいものだからバカを愛でることを知らず、かといって個性と特性と天性をくべつできるほどの世知もなく、理想のなにものかになれるものなど学年にひとりいるかいないかなのに、このわたしこそがひとかどの人物にならなければいけないし、なれるはずだという幻想から逃れられず、映画と演劇と文学に造詣があるふりをしつづけ、過か拒におちいりがちなここにいるしんどい娘たちは、ワセジョと総称される。 これは清水博子さんの小説、「Vanity」の一節だ。「ワセジョ」とは、いわゆる早稲田大学に通う、または通っていた女学生たちを指し、彼女たちはこのようなメンタリティーを持つとされる。たかが4年間。それもサークルやアルバイトなどバラバラな過ごし方をしている大学で、人のメンタリティは似通っていくのだろうか? 「何者かになりたい」受け皿早稲田大

    ワセジョという幻影|嘉島唯
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    honeybe 2015/11/25
  • なぜ、高知に住みたいと思えないのか|嘉島唯

    東京でしか消耗できないからです。 「イケハヤ書店」が「まだ東京で消耗してるの?」に変わってから早1年。高知の魅力をたくさん知りました。 べ物は当に安くて美味しい。大自然に囲まれた、東京にはない豊かな暮らしがそこにはあるのでしょう。高知の素晴らしさを知るたびに、「まだ東京で消耗してるの? 移住しなよ」と声が聞こえてきます。 でも、私は一瞬も「地方に移住したい」と思ったことがありません。というか、1ミクロンも共感できない。 なぜか? それはイケダさんが所帯持ちであり、私が寂しがり屋な独身だからです。氏の豊かなライフスタイルは、ご人が相当な人格者で、かつ仲間(家族)がいないと厳しいでしょう。人とうまく関係性が築けない私からしてみれば、若いうちに所帯を持つ人って異次元なんです。もうその時点で思考の次元が違う。 独身女性は、東京でしか生きられない。そう唱えたのは、「負け犬の遠吠え」の酒井順子さ

    なぜ、高知に住みたいと思えないのか|嘉島唯
    honeybe
    honeybe 2015/11/04
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