吉海 直人(日本語日本文学科 特任教授) 私は中島みゆきの熱烈なファンではありませんが、「縦の糸はあなた、横の糸は私」という歌詞は記憶に残っています。男女を縦糸と横糸に見立てて、その糸から布が織り出されるというのは、男女が協力して何かを成し遂げるということなのでしょう。これは特別な男女の一回きりのことなのでしょうか、それとも普遍的な男女の営みなのでしょうか。そう考えると、この歌を歌うのに一番ふさわしいのは、結婚式ではないかと思えてきました。いわゆる見えない一本の赤い糸とはちょっと違いますが。 そこで『糸』という曲について調べてみたところ、面白いエピソードが見つかりました。それは天理教が信者向けに発行している「天理時報」の1992年4月12日号に、 この度の、中山善司様、はるえ様のご結婚式に合わせて、ようぼく歌手・中島みゆきさんが作詞・作曲した歌『糸』。披露宴では真柱が自ら歌われた。 と書か