戦国大名から政治家あるいは経営者のトップリーダーとしての資質を学ぼうという姿勢は、今でも根強く残っている。しかし、それらは根拠のない逸話に基づくもので、問題が多いといわざるを得ない。 ■多くは江戸時代に成立した逸話 歴史に学ぶというのは、良いこともある。「戦争をしてはいけない」、「謂れのない差別をしてはいけない」などは、その代表例だろう。まさしく「歴史の教訓」である。 一方で、昔から盛んなのは、戦国大名の領国支配や人生観などから、政治家あるいは経営者のトップリーダーとしての資質を学ぼうという姿勢である。しかし、実に問題が多いといえる。 そもそも、私たちが知る戦国大名に関するユニークな逸話は、江戸時代に成立した編纂物に書かれていることで、史実と認めがたいものが大半である(後述)。 学ぶべき戦国大名の行動が史実か否か不確定なので、そこからがまず大問題なのだ。あるいは、諸大名が行った政策の評価に