日本での患者数は100万人を超えるうつ病(躁うつ病を含む)。「脳腸相関」といって、脳と腸が相互に作用していることがわかりつつある今、うつ病と腸内細菌との関連を調べる研究も進んでいます。食生活などの生活指導を治療にとり入れ、うつ病患者の腸内細菌を調べる研究も行っている功刀浩さん(国立精神・神経医療研究センター神経研究所 疾病研究第三部部長)に、うつ病と腸内細菌や生活習慣との関連について伺いました。

人間の腸の中には、様々な腸内細菌が潜んでおり、消化器の健康から自己免疫疾患まで、さまざまな健康状態を左右している。 だが、それだけではない。それら腸内細菌叢(腸内フローラ)はじつは脳の機能ともつながりがあることが分かってきている。 『Nature Microbiology』に掲載された研究論文によれば、腸内にいる細菌はうつ病にまで影響を与えているそうだ。 腸内細菌のほとんどが神経伝達物質を作り出せる ベルギー、ルーヴェン・カトリック大学のイェルン・ラース(Jeroen Raes)氏らは、ヨーロッパ人の患者2000人以上の腸内細菌を対象に、細菌叢とメンタルヘルスとの関係について調査した。 すると、うつ病の患者の腸内には、コプロコッカス属(Coprococcus)とディアリスター属(Dialister)の細菌がほとんどいないことが判明した。 さらに、腸内細菌532株のゲノムを解析し、それらが神
この画像を大きなサイズで見るphoto by istock 2年前、18人の自閉症スペクトラム障害(ASD)の子供がある実験的な治療を受けることになった――糞便を移植するのだ。そして2年後、ASDの症状が45パーセント減少していたことが判明した。 今回発表されたフォローアップ研究によれば、便微生物移植によって自閉症と胃腸系の症状が劇的に改善したという。 アメリカ・アリゾナ大学のローザ・クラジュマルニク・ブラウン教授が言うように、「2年経ってもなお、調子のいいまま」なのだから驚きだ。 神経と腸内細菌との不思議な関係 神経の発達とお腹の中の細菌とにつながりがあるとは直感的には理解しにくいが、腸内細菌と健康や行動とに関連性があることはいくつもの研究で示されている。 ・腸と脳をつなぐミッシングリンクを発見か?腸に神経伝達物質の存在が示唆される(米研究) : カラパイア 腸内細菌が豊富な健康な人の便
ASDの消化管症状2017年Autism Speaksから発表された「自閉症の健康」と題されたレポートを紹介した。その中でASDでは高頻度に慢性の消化管症状が(便秘、下痢)みられ、生活の質が著しく低下することが書かれていたが、「本当に困っており、この記事を読んで納得した」と多くのメールをいただいた。 このとき、消化管症状の原因が腸内細菌叢の異常で、治療のために健康人の便を移植する治療が始まっていることも紹介した。もちろんこの治療の主要目的は消化管症状の改善だが、消化管刺激によりASD自体の症状が悪化している可能性も高く、消化管以外の症状を改善できる可能性が期待できる。 この期待を裏付ける2編の論文が今年に入って相次いで発表されたので、自閉症の科学27として簡単に紹介しておくことにした。 ロイテリ菌の力わが国では、多くの企業が乳酸菌やビフィズス菌についてその効能を謳った宣伝を毎日繰り広げてい
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