日本での患者数は100万人を超えるうつ病(躁うつ病を含む)。「脳腸相関」といって、脳と腸が相互に作用していることがわかりつつある今、うつ病と腸内細菌との関連を調べる研究も進んでいます。食生活などの生活指導を治療にとり入れ、うつ病患者の腸内細菌を調べる研究も行っている功刀浩さん(国立精神・神経医療研究センター神経研究所 疾病研究第三部部長)に、うつ病と腸内細菌や生活習慣との関連について伺いました。 うつ病の人に多い過敏性腸症候群 うつ病の患者さんを診ていて感じるのは、下痢や便秘、腹痛など腸のトラブルを抱えている人が多いということです。実際に精神疾患がある人は、ない人に比べて大腸に病気があるわけではないのに腹痛や便秘、下痢などが続く過敏性腸症候群(IBS)を発症している割合が高いことがわかっています。私たちの調査では、精神疾患がない人のIBSの発症率は約1割でしたが、うつ病の人は約3割でした。