アイヌ語で“蝶”を意味するマレウレウは、アイヌの伝統歌“ウポポ”を現代に蘇らせる4人組の女性ヴォーカル・グループだ。彼女たちのライヴはとにかく楽しい。メンバーが手拍子を取りつつ、多彩なリズムパターンの“ウコウク=輪唱”を展開。繰り返されるフレーズは素朴だが、4つの声の重ね方やアクセントのとり方が独特で(西欧音楽の小節感覚とはまるで異なる)、なんともいえずに心地よい。繊細なウネリに身を委ねていると、身体の中に天然のトランス感が満ちてくる。一方でMCは親しみやすくてざっくばらん。伝統を“神秘的だが近付きがたいもの”ではなく、純粋な歓びに満ちた音楽として継承、再生しようという気持ちが伝わってくる。 最新作『cikapuni』は、そんな彼女たちの“原点”と“現在”とを同時に感じられるアルバムだ。トンコリ奏者OKIのプロデュースのもと、2010年にリリースした1stミニ・アルバム『MAREWREW』