道は走る人たちで溢れている。 学校の始まらない子供たち、 テレワークのサラリーマン、 時には親子で揃って、 そんな姿を見かけるようになった。 外出自粛が長引くものだから、 痺れを切らして体を動かしたがる。 だから走るのだ。 ひたすらに息を切らして、 力の限り走るのだ。 悶々としながら過ごす。 将来への不安は拭えない。 収入は大丈夫か。 会社は大丈夫か。 居場所は守れるのか。 自分は感染していないのか。 大切な家族は大丈夫か。 そんなことばかりがグルグルと、 頭の中を駆け巡る。 だから走るのだ。 ひたすらに、 ただただ息を切らして、 走るのだ。 何も考えなくていい。 体の鼓動を感じて、 「どうにかして酸素をより多く取り込もう」 そんな体の発する指令だけに心を傾けて、 ただ呼吸の苦しさにだけ耐えていればいい。 だから走るのだ。 人には何も考えない時間が必要、 不安ばかりに脳の中を支配されないた