戸籍上の女性が性別適合手術なしで男性への性別変更を求めた家事審判で、最高裁が初の判断を示した。 手術を事実上の要件とする性同一性障害特例法の規定は、個人の尊重をうたう憲法13条に違反するとは言えず「合憲」とした。規定には、社会の急激な変化を避けるなどの目的があることを理由に挙げた。 ただし合憲との結論には「現時点では」と条件を付け、その時々の社会状況を踏まえ「不断の検討を要する」と判断した。 補足意見で裁判官4人のうち2人が「国民の意識にも変化が生じている」と指摘した。その上で、手術を受けるか否かは自由意思に委ねられ、規定に違憲の疑いが生じていることは「否定できない」と踏み込んだ。実質的に最高裁は制度の再考を促したと言えるだろう。 生物学的な性別は受精した瞬間に決まるが、脳の性差は胎児期に生まれるとされる。体と心の性が一致しない性同一性障害は、おおよそ男性で3万人に1人、女性は10万人に1