このところ、日本の大人社会が 若者を見る目は非常に厳しくなっている。 若者は良い大学を出るだけでなく、 アルバイトやサークル活動でリーダーシップを発揮し、 夏休みはインターンシップを経験し、 英語を勉強してTOEICのスコアを出し、 できれば短期留学なんかも体験し、 面接では礼儀正しく好感を持てる態度で、 コミュ力と行動力と責任感を 見せることが求められる。 そうした能力はどれもあるに越したことはないが、 求められることが多すぎて学生が気の毒になってしまう。 自分のこれまでの経験を振り返ると、 世の中で生きていくために本当に必要な事は もっと素朴で単純なことだ。 日本で大学院に進んだ時、金融機関で働いた時、 米国でPhDを取る時、大学で働くようになった時、論文を書いている時、 自分の強みの源泉はつまるところ、 高校時代の3年間、そして大学の数学科で4年間 数学を勉強したことだけだった。 大